3月25日は電気記念日です。

1887年(明治20年)の3月25日に、東京・虎ノ門の工部大学校の講堂で開催された電信中央局の開局祝賀会において、はじめて電気の明かり(アーク灯)が点灯されたを記念して定められ、電力会社をはじめ各地で記念行事が開催されます。

(電気記念日について、詳細はこちら)
 
関西電力京都支店でも、記念式典と講演会が開催されました。
 
今年の講師は京料理の「たん熊 北店」の代表取締役で和食の料理人として名高い栗栖正博(くりす まさひろ)さんで、昨年、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」の魅力について
とても興味深いお話を語ってくださいました。
 
 

講演メモ

・和食の要素は「食材」「水」「地域性・機能性と栄養バランス」「おもてなしの心と精神性・社会性」

 
「食材」
海・山・里。自然がはぐくんだもの。縄文時代から、日本は自然崇拝で八百万の神というように全てのものに神が宿ると考えた。これをありがたくいただくという考え方。

 
「水」
日本は山が多く、イギリスのようなはげ山は少ない。これが天然のフィルターとして年間平均雨量1800mmの雨水を濾過し、伏流水を生み出す。

水のミネラル分が多いことを「硬い」という。京都の水は硬度30くらいだが、東京は100、ミネラルウォーターの有名な「エヴィアン」は硬度1000にもなる。
 
 
「地域性・機能性と栄養バランス」
東京の水は関西より硬いため、昆布出汁が出難い。そのため鰹出汁中心の味付けになった。
北海道の昆布(グルタミン酸)、太平洋岸の鰹(イノシン酸)、貝類(コハク酸)、キノコ類(グアニル酸)

日本近海で漁獲される魚類は2500種に及ぶ。他国と比較しても突出して多い。
和食はコンブ、シイタケなど旨み成分を活用して薄味で健康的な料理を作っている。
西洋では脂の旨みを中心に料理が構成される。

ちなみに、京都では出汁の味を含ませながら煮ることを焚く(たく)という。「お菜っ葉の焚いたん」は京のおばんざいの定番。米などを水を加えて煮ることは同じ「たく」でも炊くの字を使う。(※ 関東では焚くの字は燃料やまきなどを燃やす意味で使われる)
 
 
「おもてなしの心と精神性・社会性」
家庭料理であっても、お客さまを呼んだりするときには「おもてなし」を考える。
京料理は「京都の料理」ではなく、都の料理。
「ハレ」の料理。(これに対し、普段は「ケ」の料理)
「ムラ」の料理は祭りの時の料理。合間に簡単に食べられることから寿司が多くなった。
ちなみに京都では祇園祭の時は胡瓜を食べないが、これは八坂神社の紋(五瓜紋)が胡瓜に似ているからで、こういう社会性や精神性が料理に影響を与えている。



八坂神社の五瓜紋