夏の時間、旅の時間
 ミャンマー🇲🇲のパガンは、🇨🇳との国境沿いにある素敵な街だ。仏塔が其処彼処(そこかしこ)に在って、赤茶けた大地が延々と続く。コロナ前、私はミャンマーに魅せられ数回、タイから陸路40時間掛けて訪れた。文月には日中40度を超え、太陽を近くに感じる。西瓜売りの子どもから大振りの切り分けられた🍉を買う。ワシワシ頬張り、種を大地に返しながら、仏塔を巡る。点在する仏塔を廻ると信仰に近い感覚、畏怖を覚える。陽炎が空気を揺らす。揺れているのが自分なのか、大地なのか。仏塔の奥で読経(どきょう)の重い声が反響する。質素だが清楚な袈裟を着た若い僧が微笑む。物質的に豊かだが、精神的に貧しい日本からの訪問者は黙礼する。熱風を浴びながら、水牛の群れを見送る。

 夕餉の時間、魚と豆を煮込んだカレーを食べ、ウリを細く切ったサラダを頂く。大食いの私はお代わりをし、給仕の少年はミャンマー語に翻訳されたドラえもんのコミックを持ってくる。テレビがまだ娯楽の中心だ。歌謡曲を皆、口ずさんで観ている。こう言う、懐かしくも泥臭い風景を日本にも持ち帰りたいと思った次第である。