山月記
 国語📕の教科書で印象深かった作品は?って高校生に尋ねると、鉄板で漱石「こころ」、トテチテケンジャってリズムが耳に残る宮沢賢治「永訣の朝」。続いて「山月記」を挙げる。私も高校時代、1番印象深かった作品は1942年中島敦の傑作「山月記」である。覚えておられますか?私が🇨🇳に興味と共感を抱く入り口にもなった。中島は横浜での教員生活の後、当時🇯🇵の委任統治領だった南太平洋のパラオ諸島に赴任、その他で33歳、病歿(びょうぼつ)している。

 テーマは苦悩。主人公李徴は青年期特有の自意識と実力の乖離に苦悩している。思う様にいかないジレンマ。その乖離を契機に李徴は発狂、虎と化した。生徒は「おおかみ子供の雨と雪」と重ねることが多い。エリート官僚になった友人袁傪に「理由も分からず生きてゆく」と言う不条理(理屈に合わない現実)を叫ぶ様に嘆く。これって永遠に解けない、却って解けない方が良い不条理ですよね。

 李徴の嘆きが綴られた行を読み返す者、感想をノート2枚に纏めて持ってくる者、此処まで自分の内面を言い当てられるって面白いとの声、声。読み返すと発見のある作品ってやっぱ古典が多い。時空を越えて我々が死滅してもその時代の苦悩を掬(すく)って、読み継がれてゆく。人って文化を載せる繋ぎの役割って思った次第。