「ちごのそらね」宇治拾遺物語

①今は昔、比叡の山に児ありけり。②僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせん。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。③さりとて、し出ださんを待ちて寝ざらんも、わろかりなんと思ひて、④片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、⑤すでにし出だしたるさまにて、ひしめきあひたり。

 ⑥この児、さだめておどろかさんずらんと、待ちゐたるに、⑦僧の、「もの申し候はん。おどろかせたまへ。」と言ふを、⑧うれしとは思へども、ただ一度にいらへんも、待ちけるかともぞ思ふとて、⑨いま一声呼ばれていらへんと、念じて寝たるほどに、⑩「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、⑪あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、⑫ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、⑬ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。

 

 

定期テスト 予想問題
 古文 宇治拾遺物語 稚児の空ね
 ※配点→文法30点、基礎知識20点、読み10点、読解40点って割振りが一般的です。

 さあ、スタートダッシュしませう🏃‍♀️‍➡️
 文法は以下の10問が有力。未だ助動詞に至って無いので、動詞活用形を軸に予想。
 ①の「あり」、ラ変(直ぐに一覧表を見て活用形をチェック(チェック))。②の「せ」は同じく王道(必ず出る)のサ変。 ③の「し」もサ変、ナ変の「死ぬ」とは別。④ 「来る」→「こ、き、く、くる、くれ、こよ」の活用はノートに大きく書いておこう!カ変。 ⑤ 「ひしめく」→漢字で書くと「犇く」(🐂がぎっしり詰まってるイメージ)。これは四段活用。 少し番号を飛ばして、⑧を御覧下さい。「いらへ」は意味も出ます。「答えて」で文法問題は四段です。 ⑨ 「念じ」は上一段。意味も「我慢する」で良く出る。 ⑩ 「し」同じくサ変。 ⑫ 「食ひ」四段 ⑬ 「笑ふ」四段をラインマーカーで濃く線を引いて下さい。


基礎知識 一つ目 ジャンル→説話、

     二つ目 時代→鎌倉時代(平安時代って書く方が3割居ます) 

     三つ目 説話にジャンル分けされる作品を三つ挙げよ→古今著聞集、今昔物語(平安の作品として、今昔物語は、

         時代別の設問で別途、問われます。要注意)、あと一個、十訓抄 

     四つ目 説話を素材にした作品を二つ挙げよ→地獄変、羅生門 

     五つ目 四つめの作品を書いた著者は→共に芥川龍之介 六つ目 説話の特徴→教訓話になっていて、

         道徳的な展開、仏教的展開がある。

読み 比叡(ひえい)  宵(よい)  児(ちご)  候はん(そうろ)はん 無期(むご) 

読解 1 心よせに聞きけり→訳すと、ちごは草餅我慢食べられると期待した  

   2 ③の文を訳せ しかしながら、草餅を待っていて寝ないと言うのも申し訳無いと思って。
   3 ⑦を訳せ→ちごよ、声をかけるよ。起きなさいと僧が言うと(主語を明らかにすると点が高い) 

   4 ⑩のな〜そ、が今回の中心。訳すと、「起こしてはならない」になる。(『な~そ=禁止=can't』覚えませう) 

   5此の文章の面白さを説明せよ→稚児が無理をして寝たふりをして、声掛けが一度で終わったがため、僧の声掛けから

    暫くして返答した滑稽さを、ユーモアをたたえて表現している。