ぜんぜん更新していなかったのだが、久しぶりに更新。


 先般、取締役会の廃止について打診されたのだが、登記したことがある人に注意点を聞いたところ、取締役会の廃止に関しては株式譲渡制限規定が大きく影響していることが判明した。


 株式譲渡制限規定とは、会社のほぼ大半を占める上場していない株式会社のほとんどに規定されているものであり、当該会社以外の第三者に株式を取得されて会社の経営権を握られると困ってしまうことから、会社の意に沿わない者に株式を譲渡する時には、会社の機関の承認を要するという規定である。

 要するに「よそ者に会社を乗っ取られてたまるか!当社が認めた者以外には株式の譲渡は認めないぞ!」という規定なのである。なお、そうした場合、株式を譲渡しようとした株主は、会社が指定した第三者に譲渡するか、会社が買い取るかのいずれかとなる(決して、株式が譲渡できないというわけではないのです)。


 そして、会社法施行前では「当会社の株式を譲渡により取得するんは、取締役会の承認を受けなければならない」と規定されていたのであるが、会社法施行後では「取締役会の廃止」が可能となったため、同廃止の決議をすると、上記の規定上「取締役会」が存在しなくなるわけであるから、これを変更する必要があるのである。となると、他に登録免許税の同区分の変更がない場合、単純に登録免許税は3万円高くなることになるのである。当然、定款変更手続も必要となる。


 ちなみに、変更後は

   「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない」

 あるいは、

   「当会社の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない」

 などと変更しなければならないのである。


 というわけで、「取締役会」を廃止して、例えば、3名いた取締役を2名にすると、登録免許税的には

  「取締役会の廃止(3万円)」「取締役の変更(1万円。資本金1億円超だと3万円)」「株式譲渡制限規定変更(3万円)」

 と思った以上の出費を伴うようである。


 まぁ、3名いた取締役を2名にしてしまうと、取締役の過半数の一致を必要とする決議においては、取締役2名いずれの承認が得られないと、決議できないことになるため、よっぽど信用ができる人を相方の取締役にしないと、トラブルの元となるため、単純に取締役の数を減らせばよいという話ではないのである。

 先日、某県では設立時の払込を証する書面として、払込金以上の残高のある代表発起人の通帳があれば良いという話をきいた。実際問題として、某県の設立の申請ではそれで通っているという。


 払込を証する書面の運用については、会社法施行以後、次第に緩やかな運用になってきてはいるものの、上記のような運用、つまり、払込金が100万円となっているところ、150万円の残高が通帳に記帳されている場合には、某県の申請では通るという話なのである。そのような場合、仮に150万円の入金が記録されている場合に、50万円分と払込金である100万円とを分別する判断基準はどこにあるのか、やや不明に思われるのであるが、某県ではそれでOKという話なのである。


 ところが、その後、某県の司法書士が東京都内の会社の設立登記手続きで同様の取扱をした所、管轄登記所から補正を命ぜられたとのことである。入金日を補正することはできないので、結局、いったん取下げをして再入金をして再申請をしたと噂に聞いた。


 このように、設立時の払込金の取扱は、管轄登記所や担当の登記官によって、まだまだ判断にばらつきがある場合があるようである。


 当事務所の場合、石橋を叩いて渡る的な部分があり(ある人に言わせると「お前は石橋を叩き割ってしまうので、石橋は渡れない」と称されるのであるが)、書籍で調べたり、司法書士の仲間に聞いて、根拠条文や根拠先例等がはっきりしない場合には、法務局に相談に行くようにしているため、そのようなことはないのであるが、こうした判断基準のあいまいさというものは、時には融通がきく場面も多いものの、時には寝耳に水的になる場面もあるので、たいへん困ったところである。


会社法の施行により、株式会社の機関設計は多種多様になりました。


従来の有限会社的な要素も含めているので何やら複雑です。


どのような組み合わせがあるのかが、わかりづらいとは思いますが、2つの尺度を軸に考えると整理がしやすいです。

1つ目の尺度は「資本の大小」、つまり大会社であるか大会社以外であるかという尺度です。

2つ目の尺度は「公開会社(譲渡制限会社の規定がない会社)であるか否か」という尺度です。


大会社とは、次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社のことです(会社法第2条第6号)。

(イ)最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること

(ロ)最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること。


公開会社の定義は次のとおりです(会社法第2条第5号)。

その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを儲けていない株式会社のこと。


そして資本の大小の方では、さらに大会社以外の会社につき、会計監査人を設置するか、設置しないのかという尺度を置き、公開会社であるか否かの方では、公開会社ではない会社(譲渡制限規定のある会社)につき、取締役会を設置するか、設置しないかという尺度をおきます。


つまり、資本の大小の方の区分としては「大会社」「大会社以外の会社で会計監査人を設置」「大会社以外の会社で会計監査人を設置しない」という3つの区分になります。


また、公開会社であるか否かの区分としては「公開会社」「非公開会社で取締役会を設置」「非公開会社で取締役会を設置しない」という3つの区分になります。


そして上記の区分を縦横とする9つのマトリックスができますので、各マトリックスにどのような機関が入りえるのかを考えると、機関設計が整理しやすいです。


これを表現した図が、うちの事務所のHPにあるのですが、直結のアドレスがよくわからないので、興味がある人は下記のアドレスからうちの事務所のHPに入っていただき、真ん中の「Step③ 設立時取締役等の機関の選任(会社の機関 )」の「会社の機関」の部分をクリックして頂ければ、図が見れます。うちの事務所で、会社設立で会社の機関設計を説明する時には、この図を使っています。黒の太枠で囲まれた機関設計となる場合が大半なのでしょうけど。


   http://homepage2.nifty.com/office_kamon/setsuritsu_hyoshi.html


とりあえず、今日は機関設計につき、概要を書いてみました。