今日、クライアントからトラブルの相手方へ催告書を送付してほしいとのことで、打ち合わせに行きました。
その際、相手方と交わした覚書があるとのことで見せていただきました。
内容を見ながらお伺いしていると、争点に関する記載がアバウトで双方どちらともとれる内容でした。
多分、自分たちでどこかのひな型をダウンロードしてそのまま使ったんでしょうね。
世の中にあふれているひな形は、個別具体的な事情に応じて作成されたものではないので、
「この場合どうなの?」ってところまで考慮していません。というかできません。(作る人もあなたの話を聞いていないので)
一般的な、アバウトな「こんなことを、だいたいこのようにとりきめます」的なものです。
ひな形はあくまでもひな形です。
それをそのままつかうと、解釈によってどちらともとれる(お互い自分に都合よく)穴を残してしまう可能性が高いです。
それが法律事務所ページでアップされたものであっても、直接あなたの話を聞いていないのですからそのまま使うことは難しいでしょう。
(多分そのことについて注意書きをしていると思います。)
ひな形を利用するときは定義や範囲などと記載を加えないと、せっかく書面を取り交わしてもトラブル回避できないことになります。
今回のケースは「甲は役務を提供し乙はその対価として○○を負担する」との記載につき、役務や負担の範囲について定義がないため、互いにその範囲での争いです。甲は履行したので対価を要求し、乙は履行がないので支払義務はないというものです。
こうなると裁判での解決以外ないでしょうから、そうなれば弁護士案件です。
私も契約書などの作成依頼を受けますが、クライアントのほうから、
「そこまで細かく取り決める必要ないよ。そこは都度話し合いできめるから先生いいよ書かなくて。」
といわれることも多いです。
その際、「後でトラブルになったらかえって面倒ですよ」と説明しますが、強く拒まれた場合はケースバイケースです。
アメリカでは契約書でありとあらゆることを細部にわたり書面で事前に取り決めるそうです。
日本社会では契約締結時(門出)に多くのトラブルを並べ立てることを良しとしない(縁起が悪い?)と考えるのでしょうかねぇ?
とにかくひな形を使うなら、一度よく読んで、自分たちの契約に置き換えて、こんなときはどうなるのだろうかと考えてみてください。
あとはひな形の出どころにも気を使ってください。
石川県金沢市 離婚協議書 公正証書 今村和宏行政書士事務所