事故があったときにどのように保険金支払いをしているのか事故対応の実務をご紹介させていただきます。事故が特定できないよう数年前の事故に限定し、修理代金等の細部は変更しています。
【本件の事故形態】
2023年の事故
お客様よりお電話があり、当社で事故受付を行う。
道路走行中にやや減速したところ、同一車線走行中の後方の車が自車に衝突した。
車両同士の接触事故。過失割合0:100のもらい事故。
お客様は衝突によりやや痛みがあり、通院するかもしれないとのことだった。
お客様契約内容:車両保険付帯あり、傷害一時金付帯なし、他契約に弁護士費用付帯あり。
【事故初動時の対応】
事故初動時に相手方は自身に100%非があることを認めていた。また相手方は自動車保険に加入済みであった。そのため事故にあわれたお客様に対しては相手保険会社から連絡があること、相手保険会社から連絡があったら自身のお車について修理の話を進めていただくこと、通院される場合は相手保険会社に伝えることをお願いした。
通院される場合は治療終了後に相手保険会社から対人賠償の賠償金提示書類が郵送で届くはず。届いたら慰謝料の項目があること、慰謝料の金額について妥当かどうか相談されたい場合や慰謝料増額を相手方に求めたい場合は弁護士費用特約を利用できることをお伝えする。
【お客様のお車について】
相手保険会社より全額賠償してもらう。レンタカー代も賠償してもらう。
【ご自身のお怪我について】
事故から3月ほど病院で治療された。その間の治療代は相手保険会社から賠償された。事故から5ヶ月後お客様から賠償金の提示書類が郵送で届いたことの連絡があった。慰謝料増額のため弁護士費用を使いたいとの申し出有り。お客様は特に知っている弁護士はいないということで当社でお付き合いのある弁護士を紹介させて頂いた。以後、弁護士とお客様のやり取りがあり、委任を受けた弁護士と相手保険会社とのやり取りがあり、事故から7ヶ月後に賠償金の示談に至り、相手保険会社から賠償金を受け取ったことを確認する。慰謝料は当初の提示額より増額した模様。弁護士には弁護士費用特約の約12万円が保険会社から弁護士事務所に振り込まれる。
【事故のポイント】
今回お客様の自動車保険で発動したのは弁護士費用特約のみでした。弁護士費用特約のみの発動はノーカウント事故のため次回の等級ダウンは起きないため積極的に利用すべき特約でした。当社ではお客様が相手の過失によりお怪我をされた場合は積極的に弁護士費用特約を利用されるようおすすめしています。経験上、弁護士に入ってもらったほうが慰謝料アップにつながる可能性が高いです。また大きなお怪我をして後遺障害が残った場合、これも相手方に後遺障害認定を認めさせるのに弁護士が介入したほうが有利です。具体的には診断書作成の際、日常生活で制限されることなどを細かく明記して医師に伝えてくれるなど後遺障害認定に少しでも有利になるように動いてくれます。後遺障害認定については弁護士の力量に大きく影響します。それほど大きな怪我でなくちょっと慰謝料を増額するくらいの交渉であればどの弁護士に頼んでも大差ないかと感じます。
物損事故のみで相手が過失100の事故の場合、相手保険会社が対応してくれますが、全損事故や修理代金が高額になった場合、ご自身の加入している保険を使用したほうがいいケースもあります。
例えば車両保険30万円に加入しているお車が相手過失100の事故で全損事故になった場合、車が登録後10年以上経過しており時価が15万円の時。修理が不可で買い替えないといけなくなったとします。その場合相手保険会社からは時価15万円しか払われません。交渉次第で買い替えの諸費用(あくまでも諸費用。買い替える車の購入代金でない)も認定されるケースもあります。この場合ご自身の車両保険を発動すれば30万円振り込みされます。車両保険を発動した保険会社は相手保険会社に責任分(この場合15万円)を回収することになります。車両保険を発動すると次回更新時等級ダウンして保険料が上がりますが、それでも発動したほうが有利であれば発動という決断になります。またご自身の保険に無過失特約が付帯されていれば(今は割と標準付帯?使用条件あり)、等級ダウンはしないことになります。
今回の事例では弁護士を当社より紹介させていただきました。個人的には保険会社から弁護士を紹介してもらうのはおすすめしません。保険会社から紹介された弁護士は保険会社がお得意先であるためです。あまり強気の交渉はできないように思えます。保険会社は常時数人の弁護士・弁護士事務所と提携しています。保険会社で対応しにくい案件は弁護士に投げます。保険会社からの依頼の仕事ばかりしている弁護士もいるわけです。事故の相手方がたまに仕事をくれる保険会社であれば交渉が弱くなるのは当然かと思います。