介護事業所の経営者の皆様、こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
労働基準法の適用除外・・・
先日、元秘書から未払いの残業代を請求された国会議員が、「私たち政治家の事務所は、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢かと問題提起したい」という報道がされた。
国会議員の秘書が労働基準法に馴染むか否かは別にして、この国会議員の言う通り、「労働基準法の適用が難しいのでは・・・」と、「?」が付く業種は確かに存在します。
介護事業所ではないのですが、私の顧問先にも労働基準法の適用が難しいのでは?と思われる顧問先αがあります。
この顧問先αを訪問すると、いつも思うことが2点あります。
1点目は、「零細企業にも、労働基準法を本当に適用しなければならないのか?」
2点目は、「家族経営って何?」
です。
この顧問先αは、社長さんを含め、従業員は4名の町工場です。
社長さんは、従業員と同じように働き、従業員を家族同様に大事にしています。
古い労働者名簿を見せてもらったとき、昔は皆さん会社近くの住所で部屋番号だけが異なっていたので寮生活をしていたようですし、入社日や年齢から推測してみると、おそらく、従業員さんは地方農村地域の中学校を卒業して、東京へ集団就職してきた、かつて「金の卵」と呼ばれた方々のように思います。
労働基準法の適用除外の1つに、「同居の親族のみを使用する事業」がありますが、この顧問先αで言えば、40年近くにわたって、従業員を家族と同様に扱っているのは事実です。
零細企業でも、社長さんが従業員を酷使しているような会社には、労働基準法の適用があってしかるべきだと思います。
しかし、誰が見ても、本当の家族でないのは明らかであるけれど、この顧問先αのような家族的経営をしている会社にまで労働基準法を初めとする法律が介入してよいものだろうかとホント悩みます・・・。
このように考えるのは、私だけでしょうか?
個人的には悩むところですが、法は法です!
労働基準法は、労働者を保護するために制定された社会の掟です。
あくまで、労働基準法の適用除外の1つとして、「同居の親族のみを使用する事業」が規定されているにすぎません。
労働者を保護するために制定された労働基準法を守らない会社に従業員は定着しません。
会社が労働基準法を守らないと従業員のモチベーションは間違いなく下がります。
介護事業所の経営者の皆様、御社の離職率が高いと感じているならば、その原因の1つとして御社が労働基準法を遵守しているか否か再度考え直してみてください。
今号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。