こんにちは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
今週号は前号に引き続き法定三帳簿の1つである出勤簿をテーマにする予定でした。
ところが、テレビ等の報道で介護業界にとって旬な話題がいくつか舞い込んできたので、出勤簿についてはまたの機会に取り上げることにしたい。
今週号のテーマは、「インフル感染…に垣間見える介護職員の適正」である。
「介護職員の適正」というテーマは、テーマ自体が大きいので、これから機会あるごとにこのブログを通じて発信していく予定である。
インフルエンザ感染で死亡報道
今回、急遽、テーマとして取り上げたいと思った理由は、インフルエンザの集団感染について報道があったからだ。
1月10日の各種報道によると、
広島県の病院と群馬県の障がい者施設において、インフルエンザの集団感染が発生し、病院の患者1名と障がい者施設の入所者1名が死亡
とあった。
今回の報道では、たまたま集団感染の発生場所は介護施設ではなかった。しかし、インフルエンザ集団感染は日本のどこかの介護事業所において、毎年発生している。
集団感染に至らないケースであれば、日本中でこれだけ感染者がいるのだから、どこの介護事業所でも、ご利用者や介護職員の数名は感染しているハズだ!
インフルエンザに感染は、不可抗力?
インフルエンザが流行する時期は、どこの介護事業所でも、インフルエンザに関する研修を実施し、実際にその対策を行っていると思います。この対策自体を行っていなければ、介護事業所としてそもそも疑われてしまいますね。
したがって、今回のブログでもインフルエンザの対策がどうこうと書く事はいたしません。
私が注目したいのは、介護事業所に勤める介護職員(今回のテーマについては、直接介護に従事しない事務職等も含みます)の中には、インフルエンザが流行している時期に、自己の体調管理もロクにせず、
「人間、生身の体だから、インフルエンザに感染しても仕方ない」
と安易に発言する介護職員の存在です(実際に感染してしまったら、他の介護職員やご利用者の方たちが感染しないよう対応することはいうまでもありません)。
このような発言を安易にする介護職員には、介護事業所に勤める適正が元々ない、と私は考えています。
このような発言される介護職員には、ご利用者の命を預かっているという感覚がないのです。病院ではないので、「ご利用者の命を…」と言われても、では、問題ありです。
介護職員として法的な立場を理解した上で、勤務してもらわねばなりません。
最悪の場合、介護訴訟に発展…なんてことも想定する必要がありますね。
インフルエンザに感染した後のチョッとした会話の中にも、介護職員としての適正を垣間見ることができましたね。介護事業所の経営者の皆様は、介護職員の日頃の会話にも気を配ってみると、介護職員のケアプラン作成(労務管理)に役立ちます。
採用面接で適正を全てチェックできない!
介護事業所の採用面接では、人員不足ということもあり、余程のことがない限り、採用になるケースが多いと思います。
しかし、実際には、採用後、働いてもらったところ、「こんなハズではなかった…」と思う介護事業所の経営者の方は多いのではないでしょうか?
採用面接で介護に必要な適正を全てチェックできない!のです。
だからこそ、採用後の社員教育(OJT、研修など)が重要なのです。
幸いなことに、介護業界は日々の業務は忙しいものの、勉強熱心な介護事業所が多いのが救いです。
各種社員教育を通じて、介護に必要な適正(考え方)を教育し、場合によっては修正していけば良いのです。
語弊を恐れずに言えば、社員教育を通じて、“自社の考える介護職員像に染まってもらえば良い”のです。
介護に対する考え方も介護事業所によって、微妙に違いますからね。
今週号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。