子守唄よ
石垣りん『焔に手をかざして』の中に、中原中也の詩が引用されていました。
私は、中也の詩が大好きなのですが、「子守唄よ」という詩を知りませんでした。
石垣氏は、この詩の解説文で「哀切」という言葉を使っていらっしゃいますが、私は10回、20回とこの詩を読むうちに、母親の「ひたむきさ」や「無償の愛」といったものを感じるようになりました。
皆様は、どのようにお読みになるでしょう?
石垣著からの孫引きになりますが、以下、中原中也「子守唄よ」を全文引用しておきます。
「子守唄よ」
母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ
母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ
然しその声は、どうなるのだらう?
たしかにその声は、海越えてゆくだらう?
暗い海を、船もゐる夜の海を
そして、その声を聴届けるのは誰だらう?
それは誰か、ゐるにはゐると思ふけれど
しかしその声は、途中で消えはしないだらうか?
たとへ浪は荒くはなくともたとへ風はひどくはなくとも
その声は、途中で消えはしないだらうか?
母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ
母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ
淋しい人の世の中に、それを聴くのは誰だらう?
淋しい人の世の中に、それを聴くのは誰だらう?