荒唐無稽ではなく、現実的なサッカーが視点のストーリーだった『ホイッスル!』は、自分の持ち味を伸ばそうと努力を積み重ねる少年たちの青春ドラマであり共感していたが、最近何だかイナズマイレブンというサッカーアニメが面白い。
かつての『キャプテン翼』に登場する『ドライブシュート』や『タイガーショット』等は現実的には絶対無理なものだったが、それをさらに超えた『ファイヤートルネード』だの『ドラゴンクラッシュ』だの『ゴッドハンド』などといった、ありえない必殺技が飛び出すサッカーがどうにも楽しい。 少し前にハマッた『少林サッカー』に近いものがある。
その必殺技を会得するためにものすごい努力をしているところは少年マンガらしくてよい。

炎をまとうシュートや、空間をゆがめてキャッチするセーブは人間には不可能だが、カッコイイ『必殺技』は誰だって持てると思う。
中学生になってサッカーを始めたNくんは、フィジカルもスピードもテクニックも決して強い速い上手いとはいえず、また3年間で著しい成長が見られたわけではなかった。 ほとんどA戦に出ることはなく、3年生になってもB戦に出るか出ないかといった日々だった。 それでも彼は部活や派生FCをやめずに3年間サッカーを続けた。
そんな彼が会得した必殺技がある。 『オーバーラップ』だ。
彼が素晴らしいのは、そのタイミングを逃すことなく判断して行っていたこと。
味方のゲームメーカーが中央でボールをキープできたときに、例えボールが来なくても、何度も何度もオーバーラップを仕掛けていた。 実はこれがかなり効いた。 相手チームのプレーヤーは、その動き出しで何度も惑わされていた。 Nくんにボールが来なくても、マーク・ケアせざるを得ない。 その分フリーになるプレーヤーがいて、結果Nくんのオーバーラップはチームのチャンスを何度も何度もつくっていた。 フィジカル・スピード・テクニック的にボールをもらえないことはわかっていたのかもしれない。 それでも、自分の『ボールを使わない必殺技』でチームに貢献しようとしていたNくんに、私は大きな感動をおぼえたのだ。
彼こそが『マスター・オブ・ザ・OFF THE BALL』だと思う。
サッカーやるなら楽しくやりたい。
どんな形でもいいから、『究極の自分らしさ』にできる自分だけの必殺技を、皆が一人一つ持ったらどうだろう。
きっとチームのハートはイナズマイレブンを超えられると思う。