こんにちは、粟津サヤカですコーヒー
京都を旅するコミュニティツアーのガイドをしています。
 
眺めているだけでワクワクしていた
とあるレトロ建築の解体がきっかけで、
レトロ建築がさらされているどうしようもない現実を知り、
ならばせめてその姿を記録にとどめようと
ブログを書いています。

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「カッコいい」とは何でしょう?

 

できたらカッコよく生きたい。

そんな風に思ったことはありませんか?

 

自分の歩んできた人生を思い返すとき、

これからの人生を思うとき、

自分の人生は「カッコいい」のだろうか?

 

失敗や思うようにならないことばかり、

情けなくひねくれたり、

なりふり構わず

がむしゃらに手足をバタつかせたことも

時には不本意な形に甘んじながらも

時には人にいえないようなやり方さえも良しとして…

 

一生懸命に日々を生きてきたけど、

「カッコいいなんて…」

 

さて今回記録するレトロは、

私たちの足元を黙々と支え

時代の流れのなかで

不本意だったかもしれないけど

目的を果たすために

臨機応変にその姿かたちを変えながら、

今もその役割を果たし続けるレトロ、

 

鳥羽(とば)大橋です。

 

鳥羽(とば)大橋は

名神高速道路の京都南インターチェンジのすぐ北、

鴨川を南北に渡る位置にあります。

 

鳥羽といえども京都。

三重県の鳥羽ではなく、京都の鳥羽。

最寄駅でいうと、結構遠いけど

京都市営地下鉄と近鉄京都線の「竹田」駅。

平安時代の院政期、鳥羽離宮が営まれたことで知られる

鳥羽の地にあります。

 

一級河川鴨川も

このあたりまで流れてこれば

周囲は車びゅんびゅん、

かなりの交通量とスピードで

私も写真撮りながら身の危険びしびし。

(ちゃんと歩道から撮っています)

 

写真の左側が北(京都方面)、右側が南(大阪方面)。

京、大阪、二大都市を結ぶ大動脈、

この道こそが国道1号線、またの名を京阪国道といいます。

 

モダニズムの雰囲気ただよう

逞しい橋脚と鷹揚としたアーチの連なり。

 

明治末から大正時期にかけて

京都市周辺の市街地化が進んだことから

京都市では本格的な道路計画事業の必要性が叫ばれていました。

 

大正9年の都市計画法の施行を受け

京都市最初の都市計画事業として京都市区改正街路整備を実施、

昭和初期には京都市内の多くの橋が

道路拡幅を伴って架け替えられました。

 

現在の鳥羽大橋に架け替えられたのもその頃。

昭和3年起工、昭和7年完成です。

(↑資料によって数年異なります。

今回は最後に記載している資料の情報を基にしました)

 

ダイナミックな6連アーチが

京都悠久の歴史の象徴、鴨川を渡ります。

橋の長さは115.8m、幅18m。

高欄は石造り、律儀にリズムを刻んでいます。

 

よく見ると、

ランプのあたりで高欄の石の感じが変わってますね。

左のアーチは石の部分を覆うような形で補強されている。

 

北東の親柱には「とばおほはし」

対岸の東側は「鴨川」(確認済み)。

たぶん対岸の西側は「かもがわ」(未確認)

北西は「鳥羽大橋」になるのかな(未確認)。

 

モダンな親柱。

角ばった幾何学的なデザインが昭和初期の雰囲気。

 

一瞬で通り過ぎて行く車中の人々。

そうか、車で走ってたら、

道路より下のアーチや橋脚は見えないよね。

せめて、親柱ぐらいは見てもらえないかなあ。

でも、わき見運転にならないように~!

 

鳥羽大橋は車専用です。

歩行者は東側の歩行専用の橋を。

 

この日は平日の昼間でしたが、

人の姿もちらほらあって、

河川敷にはベンチもあったりしたので

土日や暖かい季節にはけっこう利用者があるのかも。

 

手前がさっきの歩行者専用橋なんですが、

よく見ると鳥羽大橋の橋脚の一部をぐーっとのばして

歩行者専用橋の橋脚に兼用しています。

 

あとから継ぎ足した感…

円錐形をした橋脚のカッコいいデザインが

コンクリートで外側を継ぎ足したことで

埋もれたような形になっています。

 

そういえば橋の真下、

東西の円錐形をした橋脚のあいだのコンクリート壁も

後からうめた感がありますよね。

 

もともとどういう形だったんだろう。

古写真でもあればと思ったんですけど。

わからず、調査中とさせていただきます。

 

昭和10年に京都では豪雨から発生した大水害があり、

三条大橋や五条大橋をはじめ市内の70をこえる主要な橋が

流出したという歴史があります。

 

昭和7年にできた鳥羽大橋もそれを経験しているはず。

橋脚が流れに沿って壁状に造られているのも、

上流から流れてくる橋の木材が橋脚にひっかかって

水の流れが堰き止められないようにするため。

川の水があふれて流域に浸水させないため。

 

あんた…、苦労してんのやなあ(涙)

 

鴨川はかつて天下三不如意の一つといわれていました。

平安時代の後期にあたる院政期、

強大な富と権力を手にした

白河法皇でさえ思い通りにならないと嘆いたものの一つ。

たびたび氾濫を起こして人々を悩ませた暴れ川。

 

京都を守るために

鳥羽大橋は臨機応変にその姿を変えてきたのです。

近代化で自動車に乗るようになった人々を

安全に移動させるため

継ぎはぎの姿で今も黙々とその責務をまっとうし続けているのです。

 

今回は鳥羽大橋を記録しました。

 

いつまでも、

その継ぎはぎのカッコいい姿で

京都の風景のなかにあり続け

私たちの安全な暮らしを見守っていてほしいものです。

 

さてさて、次はどこを記録しようかな~ランニング

 

今回の記録は下記を参考に作成しました。

 

ここからは私のツアーの宣伝です。

 

2024年春のツアーの参加募集を開始しました。

お花見のツアー2本と新緑のツアー2本、

開催日の49日前から受付を開始しています。

よろしければご参加ください。

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【3/23(土)】桜の山科・蹴上 街道さんぽ <受付終了>

 

 

 

【3/30(土)】タテヨコ西陣さくらのひっそりお寺めぐり<受付終了>

 

 

 

【4/20(土)】きらきら新緑 古代ロマン桂・松尾<受付中>

 

 

【5/18(土)】新緑の東山 峰から峰へ山歩き 新緑も絶景も<受付中>