こんにちは、粟津サヤカですコーヒー
京都を旅するコミュニティツアーのガイドをしています。
 
眺めているだけでワクワクしていた
とあるレトロ建築の解体がきっかけで、
レトロ建築がさらされているどうしようもない現実を知り、
ならばせめてその姿を記録にとどめようと
ブログを書いています。

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今回は

古都のお家芸、帝冠(ていかん)様式の

学校レトロを記録します。

 

私、結構好きなんですよね。

帝冠様式。

ぱっと見、日本趣味が強いので

洋館が好きな方などには

奇異に映る場合もあるみたいですけど、

 

インパクトが強いのでクセになるというか、

な、なんやこれー?

とまじまじと見つめてみると

背筋が伸びてくるような、

きりっとした気分というか、

な、なんか、放っておけない!

自分のなかに脈々と流れている

「日本」の存在を意識せずにはおれません。

 

さてさてとにかく!

その帝冠様式の学校レトロ、

旧京都府師範学校附属小学校

の記録を始めたいと思います。

 

どやーっ!

左右に翼を広げたこの雄姿!

こういう屋根を載せた建築様式のことを

帝冠様式といいます。

 

京都を代表する帝冠様式といえば

こちらが有名ですね。

以前記録しました。

ブログの最後にもはりつけておきますので

ぜひご覧ください。

 

 

 

 

場所は北区紫野、

京都市営地下鉄「鞍馬口」駅から北西に歩いて10分、

紫明通りの北側、新町通りの東西に

校地が広がっています。

 

現在の学校名は

京都教育大学附属京都小中学校。

明治15(1882)年創立の

京都府師範学校附属小学校を前身に、

平成22(2010)年には

小中一貫教育学校として現在の名称になっています。

 

竣工は昭和13(1938)年12月。

3階建て一部地階あり、

鉄筋コンクリートの立派な校舎は、

 

昭和9年の室戸台風により

凄惨な被害を受けた

京都市内のほか小学校同様、

切望されたものであろうことは

想像に難くありません。

 

室戸台風で甚大な被害を出した

小学校レトロについては、

以前、旧西陣小学校を記録しました。

ぜひご覧ください。

 

 

設計は十河安雄、

京都府営繕課の設計士としてよく聞く名前です。

同じく京都府師範学校ゆかりの紫明会館や

まだ記録していないのですが、

京都府立のレトロをいくつか

設計したことで知られる人物でもあります。

 

が、実際の設計者は

田坂保という人であるといわれています。

レトロ建築を記録していると

こういう話は「あるある」。

 

今の一般的な感覚だと

公務員なのにそんなんでいいのか?

コンプライアンス的にどうなの?

と思ってしまいがちですが。

 

それに…、

京都教育大附属って

国立の学校じゃなかったっけ?

粟津 thought…,(訳:と、粟津は思った)

校舎の建設は府が任されてたのか?

 

調べてみたところ、

昭和18(1943)年に

京都師範学校として官立になるまでは

京都府立の学校だったようです。

いろいろ複雑な経緯があったようですが。

 

しかし「府立」時代の校舎を

大切に使っているんなんて

ちょっと親近感。

「国立」だとか「府立」だとか

お役所はたいていタテ割りですものね。

 

「おはよう!」

正面玄関前では

健康優良児たちが元気にご挨拶。

顔がリアルだけど、

モデルになった子どもがいるのかしら?

 

短パンの短さから、

最近の子ではなさそうな。

私の子どもの頃は

男子はみんな、

真冬でもこんな長さで走りまわってましたからね。

 

北東の角をいさぎよくカットした正面部分。

内部は三本の階段が交差する大階段室。

いいねえ。子どもたちの元気な声が聞こえてきそう。

 

昭和モダンに特徴的な

直線的な意匠と

細幅のスクラッチタイルが

洗練された印象です。

 

午前11時35分、

この日は春休み中で

子どもたちの姿はゼロ。

中央の大きな時計が淡々と

その仕事を全うしていました。

 

ほんで、ここやで、ここ!

帝冠様式のか・な・め!

 

寺院などに多い切妻屋根を冠しています。

中央に蟇股(かえるまた)を引っ提げて、

頂部分に唐草模様。

日本的だけど華やかさもある。

 

ひさしの裏側も

立体的に長方形が刻まれていて

手抜かりはありません。

 

それにこの校舎の個性って

ここじゃないでしょうか。

かくっとさせずにアールっと曲線にしてある。

 

同じ帝冠様式でも

ここぐらい年代が下れば(昭和13年)

こんなふうに洗練されてくる。

技術やセンスの成熟は

それを見る人々の心をも

豊かにするんだなあ。

 

こちら右翼(北側)のいちばんはし。

ひさしの内側も丁寧に造り込んでありますね。

角がわずかに跳ねあげてあるような…

 

この角の跳ねあげ具合、

ひさしの内側の造り込み具合、

建物全体についていえることですが、

その具合の見極めこそが

センスなんだろうな。

 

やり過ぎてもだめ、

やらなさ過ぎてもだめ。

 

今回は旧京都府師範学校附属小学校

(現京都教育大学附属小中学校)を記録しました。

 

小学校かあ、懐かしいなあ。

ここはシステムが違うようですけど、

私は6年間同じ学校の校舎で過ごしたので、

大人になってその歳月を思うと、

長いなあと思います。

でも、あっという間だったなあ。

 

そんなふうに思い出しはじめると、

なんだか、とめどない思い出の波が

一気に押し寄せてきて、

一日ひたり切ってしまいそうなので、

今回はこのあたりで結びたいと思います。

 

それでは、

次はどこを記録しようかな~ランニング

 

今回の記録は下記を参考に作成しました。

京都の帝冠様式レトロ、
以前記録したこちらのレトロもぜひご覧ください。