こんにちは、粟津サヤカです太陽
京都を旅するコミュニティツアーのガイドをしています。
(コロナ禍の現在、ツアーはお休みしています。)
 
眺めているだけでワクワクしていた
とあるレトロ建築の解体がきっかけで、
レトロ建築がさらされているどうしようもない現実を知り、
ならばせめてその姿を記録にとどめようと
ブログを書いています

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私は

ピカピカの新しいものより

人間のドラマを感じるような

古い物を好むところがあります。

 

京都という街に惹かれ、

観光ガイドをしているのも

その傾向の最たるもの。

 

ならば、

古ければ古いほどいいのか。

 

それは違うと思っています。

 

街並みについていえば、

そこに、

人間の「今」がなければ

存在価値が変わってくると思うからです。

 

さて、

いろいろ「語り」に入ってしまいそうなので、

今回はいったん切り替えまして・・・

(この自論については

いつかまとめて書けたらと思っております。)

 

今回記録するのは

「今」を閉じた

会社レトロ。

解体前の内覧会の様子です。

オフィスエリアを記録したいと思います。

 

こちらが四条堀川にあった辻商店さんのビル。

京都の近代化を身をもって体験し、

見守ってきたその歴史については

以前、こちらにて記録しました。

"辻商店 下京区四条堀川下ル"

 

姿を消してしまった跡地については

こちらで記録しました。

【解体その後】"辻商店 下京区四条堀川下ル”

 

内覧会の様子、1階土間付近については

こちらで記録しました。

【解体その後2】"辻商店 下京区四条堀川下ル"

 

入って右手がオフィスエリアです。

レトロな木目のカウンターです。

昭和レトロなタイルも残っています。

堀川通りに面した窓から

明るい日ざしが差し込んでいます。

 

カウンターの上には

「第9回 市民が選らぶ文化財」の認定証が。

私もそうですが、

「バスの車窓からいつも眺めていた」人って

多いんじゃないかと思います。

市民の日常風景のなかにあったんですよね。

(というようなことが書いてあります)

そう思うと急に、寂しさがこみあげてきました。

 

カウンターの奥は一段高くなっています。

左の扉は台所など、プライベートエリアへ。

前回記録した、

土間沿いの玄関が左にきます。

 

右側の扉、

ドアノブを見てください上差し

歴史を感じますね。

ここで日々、働いてきた

多くの社員たちの手の跡ですね。

木目が擦り減っています。

 

むむ、

よく見るとこの部屋、

多角形ではありませんか!?

棚で仕切ってあるけど、

かっこいいなーグッ

 

扉は廊下側にもついています。

黒光りして素敵です。

ガラスも古そうですが

大切に使われていたのでしょう。

どんな人々の

どんな日常が

繰り広げられたのでしょうか。

 

入ってみると、

やはり多角形。

おしゃれだなあ。

位置的に、社長部屋かなあ。

多角形のあっちの窓から、

いや、こっちの窓から、

社長の視線・・・

社員的には気が抜けない造りですアセアセ

 

室内には

金庫と金庫スペースがありました。

時代を感じる重厚さです。

それにしても、

少々小ぶりなこちらのお部屋、

内々の会議スペースとして

使っていたのかも。

 

さて、今回は

オフィススペースを記録しました。

 

オフィスとプライベート空間が

廊下ひとつ隔てて

隣りあわせ。

 

前回、

土間沿いに続くプライベート空間に

京町家の原型を見ましたが、

職空間を建物の前面に配置しているところや、

住空間との距離の近さも、

まさに、京の商家の原型ですよね。

 

伝統的なところを踏襲しつつ、

新しさを取り入れる。

 

京都らしさを表現する言葉として

よくこんなことがいわれますが、

まさに、これだなあと思いました。

 

それでは、今回はここまで。

次回は上階を記録します。

どうぞ、お楽しみに鉛筆

 

 

鉛筆

四条堀川下ルにあった辻商店ビルは

2019年に解体されました。

その後の跡地についても記録しています。

こちらをご覧ください。

【解体その後】"辻商店 下京区四条堀川下ル”

 

内覧会の様子、1階土間付近については

こちらをご覧ください。

【解体その後2】"辻商店 下京区四条堀川下ル"

 

在りし日の雄姿、その歴史については

こちらをご覧ください。

"辻商店 下京区四条堀川下ル"

 

また、辻商店さんは

左京区岡崎、平安神宮の朱い大鳥居のそばに移転、

営業されています。

 

鉛筆

 

今回の記録は下記を参考に作成しました。

(京都市の近代化遺産 :京都市近代化遺産(建造物等)調査報告書、近代建築編

京都市文化市民局文化財保護課編 2006年)