こんにちは、粟津サヤカです
京都ツアーコミュニティでガイドをしています。
眺めているだけでワクワクしていた
とあるレトロの解体がきっかけで、
レトロがさらされているどうしようもない現実を知り、
ならばせめてその姿を記録にとどめようと
ブログを書いています
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まちなみから消えゆくレトロへの思いからはじめたこのブログ。
いろんなレトロを記録してきましたが、私がどうしても憧れの気持ちで見つめてしまうレトロがあります。
それは、ミッションスクールのレトロ。
わたくし粟津、あまり熱心でない仏教徒です。
お葬式か墓参りぐらいしか仏教に触れることなく、京都散策には様々なお寺へ、初詣には神社へ行き、クリスマスにはツリーにケーキ・・・。
日本ではよくあることだと思いますが、宗教的なことにはあまりこだわりなく暮らしてきました。
そんな方でも、進路選択のときに仏教系やミッション系の学校に進まれる方もおられると思うのですが、私はそうでもなく・・・。
そういう環境で育ったので、宗教を教育理念においている学校にとても興味があるのです。
特に今は12月
教会でクリスマスをお祝いするミッション系の学校への憧れが高まります
ステンドグラスに讃美歌、クリスマスツリーに華やかな室内装飾
オルガンの音色なんてあったら、素敵すぎてぼーっとしてしまいます
さてさて、今回記録するレトロは、
前回とはまた別の京都の名門ミッションスクールのレトロ。
平安女学院昭和館です。
場所は京都御所の西南付近。
下立売通りを正面に、南へ奥行きずずいと55メートル。
平安女学院中学校高等学校、大学の校舎。
昭和4年にJ.V.W.バーガミニーによる意匠設計、内藤多仲による構造設計により建設されました。
バーガミニーは米国聖公会から派遣された建築家。
平安女学院昭和館の他にも、日本聖公会の教会やミッションスクールの設計に携わっています。
構造設計を担当した内藤多仲は東京タワーや通天閣を設計したことで知られていた建築構造学者。
地震の多い日本にあわせ、入念な耐震構造が施されたのですね。
平安女学院は明治8年に米国聖公会宣教師エレン・エディが大阪の川口に設立した学校が源流。
明治13年照暗女学校(St.Agnes' school)を経て、明治27年平安女学院に改称、明治28年現在地の京都に移転しました。
その名称からも京都の学校のイメージが強いのですが、元々は大阪の学校だったのですね。
以前の校名、St.Agnes(聖アグネス)といえば以前記録した聖アグネス教会は同じ敷地内にあり、同校の礼拝堂としても使われています。
歴史ある礼拝堂でステンドグラスがとても美しい教会です。
こちらも併せてご覧くださいませ。
さて、本題に戻って細かい装飾を見ていきましょう。
3階部分は銅板でハーフティンバー風に装飾されています。
その間を埋めているレンガタイルの配置が壁面に面白い変化をつけています。
細長い窓も印象的。
最上階のかわいい小さな三連窓の奥はどうなっているのでしょうか。
1階部分はピンクがかったモルタル塗りになっています。
玄関の立体的で丸みのある尖頭アーチも女学校らしいかわいらしさにあふれていますね。
奥の格子扉もクラシックな雰囲気で素敵です。
その上は階段室になっているようです。
2階の窓は、縦長の長方形の窓の上に丸みのある尖頭アーチをのせたような不思議な形をしています。
帽子をかぶっているみたいでかわいらしいですが、洋館好きとしてはアーチ部分も窓を造っておいてほしかったなあ(笑)
後から改修したのかなとも思いましたが、他の窓も全部長方形なのでもともとこういう形だったのかもしれません。
西側の室町通りにまわります。
大きな窓の校舎が続きます。
メダリオンと呼ばれる紋章やメダルのような装飾がこのレトロの個性ですね。
西側の中央部分に受付のある入口があります。
こちらも丸みのある尖頭アーチ、そして2階部分は張り出しています。
メダリオンと歯車の歯のような凹凸が華やかでヨーロッパの古城のようですね。
アルミサッシがちょっと残念ですが、竣工当時はレトロな格子窓だったのかもしれません。
右の表札、学校名の上に描かれているのが平安女学院の校章です。
玄関の扉上部にも掲げられていますね。
平安女学院昭和館でした。
女性らしい優しい雰囲気のあるレトロでしたね。
平安女学院といえば、日本ではじめて制服にセーラー服を導入したことで知られています。
大正9年のことで、当時はワンピースのウェスト部分にベルトをしめたスタイル。
欧米を中心に女性のファッションに取り入れられつつあったセーラー服を女性宣教師が同校の制服に採用したのではないかと言われています。
一時期に比べ、セーラー服の制服は減ってしまったそうですが、今でも女性の制服の代表的な存在です。
新しいものでも便利で実用的、そしておしゃれなものならどんどん取り入れる。
そんな学校の進取性がそんな歴史にも見て取れますね。
また、平安女学院にはもう一棟、明治館というレンガレトロがあります。
敷地外からはわずかしか見ることができないのですが、文字通り明治に建てられたレンガ建築で、昭和館と同じく国の登録有形文化財に指定されています。
なかなか一般公開されないのですが、機会があればぜひそちらも記録したいと思います。
今回の記録は下記を参考に作成しました。
・「京都の洋館」光村推古書院 平成28年
・「謎解き京都-京をめぐる100の疑問に答えます-」読売新聞大阪本社編集局 平成27年
・登録有形文化財データベース https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp
・平安女学院大学ホームページ http://www.heian.ac.jp/about/culture.html
・平安女学院中学・高等学校ホームページ http://www.jh.heian.ac.jp/school_profile/gakkouno_enkaku
本日記録した平安女学院昭和館はご案内していませんが、
私がご案内しているオフアワーズの京都ツアーでは
京都のいろんな表情を堪能できる場所をご案内しています。
開催日:2019年1月5日(土)
集合時間:9時00分
集合場所:叡山電鉄「修学院」駅※詳細後日
参加料金:大人3,000円 小学生以下無料
申込締切日:2018年12月31日(月)
※詳細は画像またはツアー名をクリックして必ずご確認ください。
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