こんにちは、粟津サヤカですクローバー

京都でオリジナルツアーのガイドをしています。

 

時代の流れの中で

消えてゆくレトロの現実を目にし、

なくなってしまう前に

せめて自分の目で見て記録に残そうと

ブログを書いています鉛筆

***

 

寺や神社、伝統的な町並みが多く残り、

古都のイメージが強い京都ですが、

明治から昭和にかけて建てられた

古いレンガ建築が多く残っている場所でもあります。

 

その多くが京大や同志社など学校施設、

他には、役所などの公的機関の施設が多いのですが、

 

今回記録するレトロは、

人間の普段の暮らしの真ん中で今も活躍しているレトロ。

旧鐘紡京都工場ボイラー室です。

 

正面の丸く大きなアーチ窓、

周囲を飾る白い石と横へのびる大胆な太いラインも

赤レンガによく映え、華やかで堂々とした印象です。

 

場所は左京区高野。

京都を南北に貫く鴨川は

下鴨神社の南方で

ふたつの川が合流していますが、

そのうち東側から流れ込む高野川を

さらに北大路通りまでさかのぼった辺り。

 

周囲を住宅団地に囲まれた一角に、

その歴史ある建造物は静かにたたずんでいます。

 


いかにも元工場らしい、

ノコギリ屋根が新緑の間から見えています。

見えにくいですが左側へ数か所、

このようなノコギリ状のレンガ積みが続いています。

 

それにしても、

新緑の季節を迎え、うっそうと生い茂る草木・・・

この季節、建物を見てまわるには適していないのです汗

 

左側に大きなアーチが口を開けています。

ところどころ新旧のレンガが混ざっているのは

修復の跡でしょうか。

大切に使われているんですねニコニコ

 

壁の裏側は小さな広場になっていて、

さらに奥へ団地が続いています。

植物が植えられているなど

団地住民の憩いの場といったところでしょうか。

 

こちらが旧ボイラー室の側面です。

いかにも後で取り付けられたといった感じの

円筒形の窓が埋め込まれています。

現役で稼働していた時はどんな様子だったのでしょうか。

 

旧鐘紡京都工場は

明治41年に操業を開始、

約5年後の大正2年には従業員数3,414人の規模に。

大正11年には

東洋一の生産規模と品質ナンバーワンで

国内外で名声をとどろかせ

第二次大戦まで東洋一の絹紡工場と呼ばれていたそうです。

 

第二次大戦により軍需工場へ転換。

終戦まで軍需工場としての役割をまっとうします。

戦後も繊維関連の工場として稼働していましたが、

昭和50年には全面封鎖が決定、

住宅公団へ引き渡されることになったそうです。

 

ボイラー室を含む一部の施設と樹木などが保存され

現在は住宅団地の集会所として使われています。

壁だけの保存だと強度に欠けるため

背後にバットレスという支えが設置されています。

 

こちらが旧ボイラー室の裏側です。

かなり大きなアーチですが

下部は扉でもあったのでしょうか。

レンガで埋められたような跡があります。

 

ぐるりと回って正面右側に来ました。

ここにもレンガの壁面がありますが・・・

ここから別の建物が続いていたのでしょうか。

 

明治時代のレンガ建築の特徴として、

西洋技術を見よう見まねで建てていた明治後期頃までは、

窓も小さく、秩序立った「まじめ」な建物が多いのですが、

明治末期から大正期になると、

窓を大きくしたり、白い石を自由に配置して

華やかさや軽快さを持った建物が増える傾向があります。

 

こちらの建物は

白いラインを大胆に横に伸ばしたり、

窓の形や大きさを変えて変化を出しています。

工場だった頃、

その姿はここで働く人々にどんな風に映ったのでしょう。

 

旧鐘紡京都工場ボイラー室、

かつて東洋一といわれ繁栄を誇った工場、

今は団地のただ中でひっそりと佇み

人々の営みを見守っています。

 

地域の中心的な存在として

その歴史を語り

いつまでもここにあり続けてほしいものです。

 

今回ご紹介した旧鐘紡京都工場ボイラー室はご案内していませんが、

私がご案内している

オフアワーズの花らんまん春の京旅では

ほかにも面白い場所をご案内しています。

 

【6/2(土)】新緑の庭園をめぐる京都一乗寺 目がくらむほどの新緑美!春から夏へ、一流の庭園空間で四季の移り変わりを眺めませんか?

開催日:6/2(土)

集合時間:13時

集合場所:叡山電車一乗寺駅

最少催行人数:2名様

参加料金:おひとり4,400円(寺院拝観料・施設入場料込み)

申込締切日:5/30(水)

※事前のお申込みが必要です。画像またはツアー名をクリックしてツアー詳細ページからチケットを購入してください。

 

日本庭園を楽しむなら

私は断然、新緑の季節だと思っています。

紅葉はその華やかないろどりに目を奪われますが、

静寂と落ち着きを得られるのはぜったい新緑!

 

古今の趣味人が愛した一乗寺で

新緑の庭園美を一緒に堪能しましょう!

 

さてさて、次はどこへ行こうかな~ランニング