こんにちは、粟津サヤカです手袋

京都でオリジナルツアーのガイドをしています。

 

おとなりの韓国では冬季オリンピックが開かれていますね。

開会式前後は

寒すぎるだとか、政治色が強すぎるなどと

主役の選手たちはそっちのけで

競技の開催は大丈夫かと心配していましたが、

メダル獲得のニュースなどを見ていると

ようやくオリンピックらしくなってきたなと思います。

 

それにしても、

積み重ねてきた努力が花を咲かせる瞬間というのは

どんなふうなのでしょうね・・・

 

いろいろ思うところはあるのですが、

ちょっと長くなりそうなので

続きはまた今度。

 

時代の流れの中で

消えゆくレトロの現実を目にし

消えてなくなってしまう前に

自分の目で見て記録に残そうとはじめたこのブログ、

 

今回のレトロは、

京大楽友会館(その1外観)です。

 

場所は京大吉田南キャンパスの南のはし、

東大路通りと近衛通りの交差点を東へ入ったところにあります。

 

京大の建物らしくないてへぺろ

明るく陽気な開放感がただようのは

白壁と茶褐色の瓦庇のせいでしょう。

 

近づくとさらにその個性の輝きに心奪われます。

茶褐色の瓦庇が描く奔放な曲線は

ちょっと他には見たことがありません。

 

加えて、大きな庇を支える柱の形にも惹きつけられます。

「Y」?

ワイ、ワイ、ワイの連続。

ここにはきっと面白いものがある!

そんな高揚感がわきあがってきます。

 

京大楽友(らくゆう)会館は

大正14(1925)年、

京都帝国大学創立25周年を記念して

同窓会館として建てられました。

 

設計は森田慶一。

(武田五一が設計したものを森田が大幅に改変したとも)

東京帝国大学の建築学科出身で

分離派建築会を結成していました。

 

分離派建築会とは

それまでの歴史主義から脱却し

表現としての新たな建築を目指すグループのこと。

 

こちらは同じく森田慶一設計の

京大農学部表門と門衛所です。

自由でわくわくするような楽しい雰囲気は

共通していますよね。

 

写真中央に映っている

脇出入り口の上部、とがったアーチをよく見ておいてくださいね目

 

下差し京大農学部表門と門衛所についての詳しい記事はこちら下差し

 
そんな森田の表現主義が尽くされた
京大楽友会館は大正建築の特徴をよく伝えるものとして
登録有形文化財に指定されています。
 

さて、楽友会館に戻って

その名称についての私のエピソードをひとつ。

 

同窓会館という由来を先に知ってしまった私、

じつはつい最近まで「がくゆう」会館と声に出して呼んでいました。

 

同窓会館なんだし、

本来「学友」と書くところを「楽友」と書いたらステキじゃないかグッ

といった学長なんかがいたのじゃないか・・・

などと勝手に考えてましたアセアセ

 

すごいご都合主義なロマンチストですねガーン

 

Y字の奥に控える遠近法とんがりアーチ、

これですよ、これ上差し

森田はこの感じ好きなんですね、きっと。

 

さきほどの農学部表門にもありましたよね。

手で成形したような

やわらかい風合いの、

しかしとがったアーチ拍手

 

この共通点を見つけたときは

異国で友人に出会ったような嬉しさが

こみあげてきたものです。

 

外観を撮ったこの日は休館日。

風合いのある扉が閉じている姿を見ることができました。

上部に刻まれた右から読む「楽友会館」の文字もレトロです拍手

 

扉前の左右の壁にはこんなレトロな文字が。

「京都帝国大學」

添えられている絵もかわいい拍手

 

扉向かって左手は「大正十四年」です。

文字体、イラストともに

建物全体の雰囲気に統一されていますね。

 

いや、なんでこんなにかわいいんでしょうかラブラブ

 

建物は「L」を反転させた形をしています。

こちらは「L」の短い辺の部分です。

正面部分にはなかったベランダが造られています。

 

ベランダの手すり部分には正面の庇と同じ瓦が。

ちなみにこの瓦はスペイン瓦なのだそうです。

 

また、よく見ると2階の庇の裏に

三角形の頂点に円を配したような意匠が施されています。

サーカスとかピエロの帽子のような形は

やはり建物全体の意匠に合わせたものなのでしょうか。

 

そして、見てください!

このプレハブの物置小屋の後ろに隠れたアーチを!!

これ、ぜったいあの入口のアーチと同質のものだと思いませんか!?

なんのためにこんなところにアーチを造ったんだろう。

なんでこんなプレハブ置いてあるんだろう。

これって森田のシンボルじゃないのかな・・・。

 

裏側はこんな感じ。

窓の外の景色にも配慮してあるようできれいしてありました。

 

が、

すぐ目の前にかの有名な京大吉田寮が迫っていました。

大正2年築の木造2階建てはいろんな意味で迫力満点。

自治寮ということで

やりたい放題、無法地帯と化しているとかいないとか・・・

建てかえ問題などで大学と対立を深めているという張り紙が

キャンパス内のあちこちで見られました。

 

美しく整備された楽友会館とのコントラスト、

いやいや、はっきりいって落差がすごかったですびっくり

レトロですし個人的には嫌いじゃないのですが

住空間ですし、写真やブログは控えようと思います。

 

京大楽友会館(その1外観)の最後はこちら、

建物の裏側中央に並ぶ謎の小窓。

かわいい、確かにかわいいのですが

配置がなんとも独創的です。

何か意味があるのでしょうか。

 

次回ご紹介したいと思います。

 

※今回の記事は

  •  「京都の洋館」光村推古書院
  •  登録有形文化財データベース

 を参考に作成しました。

 

今回ご紹介したは京大楽友会館は

コースに含まれていませんが、

私がご案内している

 

オフアワーズの

京都のんびりおさんぽ旅

(詳細はこちらをクリック!チケット販売サイトへリンクします)

 

では

他にもおもしろい場所をご案内しています。

 

春コースのスタートは3/17(土)から。

現在公開準備中です。

開催日の1ヶ月前をめどに受付を開始しますので

もう少々、お待ちくださいませ。

 

さてさて、

次はどこへ行こうかな~ランニング