こんにちは、粟津サヤカですタコ

京都でオリジナルツアーのガイドをしています。

 

先週からはじめた朝の30分散歩、

気持ちよく続けています。

朝の近所の風景は私にとってとても新鮮です。

 

私は1年と数か月前までOLをしていました。

日中はオフィス街にある勤務先まで電車で通っていましたし

休日は疲れて寝ているか

電車に乗って遠くの町へ出かけていました。

十数年間そんな生活をしていたので

朝や昼の明るい近所をあまり知らないのです。

 

と、いうより、

意識を持って眺めたことがなかったんだと思います。

 

意識して眺めてみると、

あの家、レトロなタイル使ってるなあ・・・とか

この家、昔、何屋だったのかなあ・・・

など発見に満ちています。

 

意識を持って眺めないと

街並みは日常の中に埋もれてしまうのです。

 

さて、

レトロ消滅の現実に遭遇し

消えてしまう前に自分の目で見て

記録に残そうとはじめたこのブログ、

 

今回ご紹介するレトロは、

こちらもすっかり近隣住民の日常に

とけ込んでしまっていると思われる

偉大なる建造物、

琵琶湖疎水第一疎水第二トンネル出口です。

 

琵琶湖疎水は滋賀県大津市の琵琶湖から

京都市中へ現在も水を運び続けている水路です。

 

水は生活用水の他、灌漑目的、水力発電目的でも使われ

かつては人や物資を舟に乗せて運び

京都の近代化に大きく貢献しました。

 

こちらは第一疎水に4つあるトンネルのひとつ

第二トンネルの出口で

山科区の北の端にあります。

 

このトンネル、ものすごくカッコいい思いませんか?

他のトンネルの出入り口に比べて格段にイケてるんですグッ

開口部の少し尖ったアーチが都会的でスタイリッシュ、

上部の装飾も変化に富んでいて華やかですキラキラ

こんなのが近所にあったら毎日見にいってしまいそう。

 

写真の左手は遠く比叡山へ続く東山連峰の山すそ、

右手は山科盆地へ続く斜面に住宅街が広がっています。

 

明治20年竣工とあります。

私はこのブログでレトロな建物をご紹介していますが

現存するレンガ建築の中でも

明治20年のものとなると重要文化財級の古参ですし

外国人主導の設計、施工が普通です。

 

しかし、琵琶湖疎水は違います。

まだ西洋の土木建築技術が日本に普及していなかった頃、

日本人が設計し日本人の手で造られた建造物なんです。

 

レンガももちろんお手製です。

明治19年から3年の間、

琵琶湖疎水に使用されたレンガはここで造られていました。

 

これってすごいことなんですよ上差し

当時は日本の国自体にもレンガ製造技術がなかったそうです。

それならば自分たちで造っちゃえ右矢印

と考えた京都はすごいなと思います。

琵琶湖疎水建設は

京都の命運をかけた一大事業だったそうですが、

気合いの入り方が普通じゃないですね。

 

石碑は

京都市営地下鉄と京阪電車が共同使用している

御陵(みささぎ)駅の2番出口にあります。

 

そのお手製レンガで造られたトンネル、

じっくり見てみましょう。

古いレンガの風合いがレトロ好きにはたまりませんキラキラ

第一疎水のトンネルは赤いレンガでないものもありますが、

私はやっぱりこの感じが好きです。

 

苔むすレンガにやさしい冬の日差し、

時間が止まったようなノスタルジックな錯覚を覚えました。

 

竣工当時からある3つのトンネルには

上部に明治政府の元勲が書いた扁額が掲げられています。

こちらは西郷従道(じゅうどう)が書いたもの。

 

2018年の大河ドラマ主人公西郷隆盛の実弟で

西南戦争の時には東京の政府に残り

後も政府の重要人物として活躍しました。

そういえば第一回目の最初の場面が

上野の西郷隆盛像の除幕式でしたが

錦戸亮さん演じる従道が登場していましたね。

 

隨山到水源

(やまにしたがい

すいげんにいたる)
西郷従道 筆
山にそって行くと水源にたどりつく

 

西郷従道は

お兄さんの西郷隆盛に似た

器の大きいおおらかな方だったそうですが

おっしゃる言葉もスケールが大きくてどっしりとしていますね!

 

この日は第一疎水の定期停水で水が流れていませんでした。

いつもは水路の白い部分まで水が満ちていて

豊かな水の流れを眺めることができるんですよ。

 

第二トンネルは短いので

入口側の景色がここからでも見えますね。

第二トンネルの入り口については

先日書きましたのでぜひこちらもご覧ください。

趣のまったく異なるトンネルですよ。

 
第一疎水第二トンネル出口、
いかがでしたか?
 
疎水沿いの道は近隣住民の憩いの場になっています。
散歩やジョギングに励む方もあり、
近隣の方にとってはまさに日常の景色。
 
こんな景色が日常だなんてうらやましくもありますが、
日常に埋もれてしまうのかと思うともったいない。
 
しかし、これを造った人々や、
トンネル自身に何かを考える意思があったとしたら、
ここまで日常の風景にとけ込めたことは
生活を支えるインフラ設備として大成功なのじゃないでしょうか。
 
そんなレトロもあるのですね。
 

今回ご紹介したは第一疎水第二トンネル出口は

コースに含まれていませんが、

私がご案内している

 

オフアワーズの

京都のんびりおさんぽ旅

(詳細はこちらをクリック!チケット販売サイトへリンクします)

 

では

他にもおもしろい場所をご案内しています。

 

  • 伏見稲荷から清水寺 ゆるトレッキングコース 2/3()
  • 洛中レトロ御所南コース 2/17()
  • アカデミック北白川・疎水コース 2/10()

ご参加お待ちしております!

 

さてさて、

次はどこへ行こうかな~ランニング