しばらく新菜ちゃんと並んで歩いていると
学校が見えてくる。
桜の樹がたくさん植えられた学校。
桜の樹の下には屍体が埋まっている。
そんな話を聞いたのはいつだったか。
そして誰が言っていたのだろう。
予鈴がなる。
今日も私はつまらない授業を
受ける。
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今日も庭の桜の樹は満開だ。
美しい桃色。
桜色。
桜の樹の下には屍体が埋まっている。
ならば桜の樹の上には何があるのだろう。
あの花びらにうもれて眠っているのは。
「紅蘭さん、お帰りなさい」
「ただいま、道江さん」
庭で一人佇んでいた私を見つけて、
道江さんは声をかけてくれた。
「いつ見ても立派な桜の樹ですね」
道江さんは桜の樹を見上げて呟く。
「そうね。あの頃から何も変わらない」
「紅蘭さん…」
「最近ね、記憶が無くなってるの」
「…」
「学校へ行こうとしたところから記憶が途絶えていたりね」
「…」
「今もここまで帰ってきた記憶がないの」
道江さんは何も言わない。
「ねぇ、道江さん。あなたは全てを知っているのでしょう?だってあなたはエレンだもの」
「…私は道江ですよ」
道江さんが悲しそうに呟く。
「……ねぇ」
「なんでしょう」
私は意を決してたずねる。
「**は、まだ」
目が、眩む。
さくら さくら
舞い散るさくら
「紅蘭さん!?」
意識が遠のいていく。
「紅蘭さんっ、紅蘭さ」
道江さんの声が途絶えた。