百日紅
ごくごく
水を呑むばかり
さるすべりの木を見ると
条件反射のように
国語で習った石田波郷の俳句が頭に浮かぶ近所にある小さな小さな公園
ベンチと簡単な遊具と水飲み場があるだけ
高い木は一本しかない
それがこのさるすべり
さるすべりは
幹肌がつるつる
猿🐵でも滑って上れないとその名がついたらしい
実際には、猿はするすると登るらしいが
毎日必ず この公園の この木の前を通る
昨日
さるすべりの木の下の水飲み場に
若いサラリーマンが立ち寄っていた
平日の真昼間には珍しい
確かに
水をごくごく呑みたくなるような炎天下だが
ワイシャツとネクタイ姿の彼は
大胆にも
水道水に頭を突っ込み
頭をわしわしと洗っていた
そして、
したたる水をそのままに駅の方へ歩いて行った
びっくりした
何があったか知らないが
なぜか、見ず知らずの若い彼に
頑張れ!
負けるな!
胸の中でエールを送っていた
とうとう関東も梅雨明け
猛夏が始まった
さるすべりは、厳しい夏の間を咲き続ける
百日紅の名前のとおり
秋まで、長くしぶとく、美しく咲き続ける
その強さ、見習いたいな


