ある日、霊視鑑定の先生に、こんなことを言われた。

小さい頃の嫌だった記憶を思い出したら、

そのときの自分に、一分間、自分を味方をする言葉をかけてあげるという瞑想のワークをしてくださいね。

 

インナーチャイルドのワークだった。

 

私はその言葉を聞いて、自分の過去を思い返した。

 

「小さい頃、嫌だったことって何かあったかな。」

 

そう考えてみたけれど、

思い出せる出来事は、ほとんどなかった。

 

何度振り返っても、

頭に浮かぶのは、たった一つだけ。

 

「……あ。」

 

保育園の頃の、あの出来事だった。

 

でも、それはそのとき初めて思い出した記憶ではない。

私は24歳頃、一度その出来事を思い出していて、母本人にも伝えていた。

 

それでも、

思い出せる出来事は、それしかなかった。

 


■ 保育園の頃の記憶

たしか、まだ保育園の頃。

 

私は母に近づいた。

 

抱きつこうとしたのか、

寄りかかろうとしたのか、

細かいことは覚えていない。

 

ただ、

「母に近づいた」

ということだけは覚えている。

 

 

そのとき、母は言った。

「気持ち悪い!
あんた、レズビアンか!」

 

母がどんな表情だったのか。

どんな口調だったのか。

周りに誰がいたのか。

 

そんなことは何一つ覚えていない。

 

でも、

その言葉と、

追い払われたことだけは、

胸の奥に残っていた。

 


■ 24歳の頃、初めて分かったこと

24歳頃。

 

メンタル系のワークをしていたとき、

あの保育園の記憶が、ふっと浮かんできた。

 

そのとき初めて思った。

「……あ。
私、あのとき傷ついていたんだ。」

 

そして同時に、

長年、自分でも理由の分からなかったことが、一つつながった。

 

 

私は昔から、

なぜか綺麗な女性が少し苦手だった。

 

女性の肌に近づくことや、

触れることにも、どこか抵抗があった。

 

でも、

その理由は、自分でもずっと分からなかった。

 

 

それが、この記憶を思い出した瞬間、

初めて一本につながった。

 

 

私の中では、

綺麗な女性 = 母 = 怖い

そんなイメージが、

無意識の中で出来上がっていたんだ。

 

 

そのとき初めて、

「理由の分からない苦手意識」だったものに、

理由がついた。

 


■ 母に伝えた

私はそのあと、

母本人にも、このことを伝えた。

「あのときの言葉、傷ついたんだよ。笑」

母は笑いながら、

「そんなこと言ったっけ?

ごめん。笑

だって、あんた女のくせにベタベタしてくるんだもん。」

と返した。

私は、

「うん、いいよ。」

 

そう答えた。

 

本当は悲しかった。

 

「寂しかった。」

 

とも伝えた。

 

でも、

空気を悪くしたくなくて、

最後まで冗談っぽく話してしまった。

 

今思えば、

もう少し本音で伝えてもよかったのかもしれない。

 

でも、その頃の私には、

それが精一杯だった。

 


■ それでも、思い出せるのは、それだけだった

先生に、

「思い出した記憶でワークをしてくださいね。」

と言われたとき、

私は改めて、自分の過去を探した。

 

でも、

何度思い返しても、

出てくるのは、この出来事だけだった。

 

他には何も思い出せない。

 

嫌だったことが、

本当に思い浮かばない。

 

だから私は、

「私は、そんなに傷ついてこなかったんだろうな。」

そう思っていた。

 

このときの私は、

思い出せないことにも、意味があるなんて、

まだ知らなかった。

 

 

つづく

 

 

 

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