20年前燃料1ポンド当たり35円程度でした。1000ポンド35000円です。チョット大雑把ですが、1ポンドは0.57ℓです。1ℓでは約62円でした。(1ガロン/3.8ℓ/6.7ポンドです)航空燃料はケロシンと呼ばれ軽油と同じレベルです。以前は航空産業を支援するため税金が免除されていたが、いつ頃からかその優遇措置も廃止されてしまいました。1000ポンド節約は一人では出来ません。しかし、全員で努力すれば相当な量を節約できます。

独りよがりの発想ですが、FMS(Flight Management System )   を上手く利用して性能の限界を知り、使い方を工夫すれば無駄なDrag/Speed Brakeの多用を減らすことが出来ます。又、Approach Controlの指示を受ける段階になったら、

他の航空機の交信内容から位置情報を把握 して早めの減速指示を受けない降下進入の計画をする事で節約できます。何ポンド節約したかは具体的には判りませんが、節約したことは感覚で分かるはずです。冬の偏西風が強い日に時間短縮を狙ってSpeedを増やしても殆ど効果無く、降下開始前後に減速の指示を受けるのが関の山です。

昔、自衛隊出身の先輩Captainが羽田の混雑した時間帯にも拘らず、Approach Controlの指示が無い限り何時までも250ktを維持して降下するのです。先行機に追いつきそうで横の方に広がり、挙句は大きく減速を指示されSlatを降ろします。Slatはより低速で飛行するための高揚力装置です。しかし、減速に多用される事が多いのです。スムースな減速方法は250kt/1500Ft/minで降下中に降下率を1000ft/minに減らすと次第に減速してきます。そこでSlat Extend SpeedになったらSlatを降ろすのです。次に200kt以下でFlap Extend Speedになったら最初のFlapを降ろします。出来るだけ長い時間Thrust Idleを続けられるよう計画するのです。

これも私の独りよがりの考えかもしれません。南西方面からの進入でRunway34の場合、距離はあまりありません。そして木更津付近のOuter MarkerではALT/Speedは3000ft/160㏏です。10000ftは250ktです。7000ft降下で90㏏減速です。平均12.85㏏/1000ftになります。単純に12.5㏏とすると、目標にするSpeedは8000ft/225㏏、6000ft/200㏏、4000ft/175㏏になります。これは飽くまでも目安です。減速にも時間が掛かります。先行機がいなければ暫くNo Slat/1500ft/minも良いでしょう。8000ftになったらそろそろ減速です。1000ft/minでMinmum Speedに近づいたらSlat Extend Speed/Speed200ktと言う具合になるべく長くIdleで降下出来るようにPlanningしたらどうでしょうか?Approach Controlの通信内容を聞いて、 自分と先行機の距離と時間を判断して(勿論北からのTraffic・飛行機もある)無駄に高速で進入せず、減速の指示を受けないPlanningを心掛けましょう。又、FOの操縦でオーパイを使わず、手動で操縦しながらApproach Controlと他機との交信を聞き判断できるよう経験を積むことも良いと思います。

逆に南西からのILS Runway22や、北からのRunway34の様に距離が多い場合は250ktを長く維持する必要があります。しかし、どちらにしても、Outer Markerの横に来て未だRunwayから若干遠ざかる方向でも250ktとか230㏏のSpeedは無駄です。どのApproachに於いても少しでも無駄なDrag/早めのDragを使わないPlannningをするのは楽しいことです。そして、自然に燃料節約できます。現役中Approach Controlに迷惑をかけた事は無かったと思います。

次にLandingに於けるIdle Reverseの燃料節約量を計算してみました。

Full Reverse 6000ポンド/hr/エンジン、Idle Reverse1700ポンド/hr/エンジンとします。双発だから2倍の12000ポンドと3400ポンドになり、それぞれ3.3ポンド/sec、0.94ポンド/secになります。Full Reverseに上げる時間とIdleに戻す時間をそれぞれ1.5秒とし、Full Reverseの時間を5秒とすると合計は単純に6.5秒分になり計21.45ポンドです。その後20秒Idle Reverseを使用すると18.8ポンドで合計すると40.245です。IdleReverseだけで30秒間使うと28.2ポンドです。その差は12.045ポンド/420円です。現在は倍以上の80円位になっているでしょうか?1ポンドあたり80円とすると、約960円です。国内線で一日平均6回着陸すると72ポンド/5760円、1年間で26280ポンド/210万円になります。50機で国内線を飛ぶと1億500万円です。使うTaxiwayも一つ先になると 10数秒長くなります。そうすると大したことは無いですね。望む事はIdle Reverse/No ABSで機体、Engine、Brake そしてお客様にも優しいOperationが出来るようにLanding Techniqueを レベルアップして欲しいですね。あり得ないことですが!!Brakeのオーバーホールのコストの方が桁外れに大きいかもしれません。

話は変わります。季節は分かりませんが、恐らく偏西風の強い時期だったのでしょう。ANAのBoaing727が大阪-東京を29分で飛んだ記録が有るそうです。勿論離陸から着陸までの正味時間です。10000ft以下の速度制限250ktが無かったので、それも理由でしょう。しかし、10000ft以下で330㏏で飛ぶことはIdle Thrustでは大変な降下率になってしまうのでPowerを出すわけです。物凄く燃費が悪くなります。もしかしたら東京湾に墜落したBoaing727はShort Cutを狙って高度処理が出来ず、IdleThrustで突込み過ぎて回復出来なかったのでしょう。今ごろこんな話題を出すのは悪いですかね?その頃は豪傑が多かったのですね!

処で10000ft以下のSpeedは制限は何故出来たのでしょうか?実はアメリカで低高度でジェット機と小型機の空中衝突が多発したからです。1976年1月、DC-9の訓練でアリゾナ州フィニックスにいる時、他の州でしたが実際に空中衝突が有りました。航空法に有視界飛行ルールが有ります。5000m以上見える事と雲から上下左右ある程度の距離が有る事と決まっています。しかし、300㏏は時速555㎞/秒速154mです。5000mなど30秒です。そしてSpeedが早いと旋回半径も大きく簡単にはよけられません。又、機首が上がっているか、下がっているかで相手の飛行機が上か下にいるか判り憎いのです。DC-9の運航を開始した頃は310㏏でよく飛んでいました。Boaing727は恐らく330kt以上出していたと思います。10000ft以下の250ktの制限は衝突事故を防ぐためにできたのです。多数の犠牲の上に決められたのです。

因みに私の記録は、羽田-新千歳1時間9分です。この記録が早いのか、大したことは無いのか分かりません。羽田RWY34‐新千歳RWY 01でしたが、無理にSpeedを上げた訳ではありません。その頃はもう省エネ飛行を実施していました。北行きは偏西風の影響は少ないです。低気圧を成長させる高高度の風が南西風になると大分利用できます。しかし帰り便の時間が掛かります。偏西風の風速は強い時は30000ftで150kt以上になります。はっきりした数字は記録していないのですが、羽田―福岡便で時速600㎞を切る事は多いですね。560㎞を切ったことも有りました。風速165㏏は時速305㎞です。エアバス機は時速900㎞を少し超える程度ですから170㏏以上の風でした。その代わり帰りは時速1200は超えます。音速は超えていますが飽くまでも対地速度です。空気に対しては行きも帰りも同じです。