第一印象として感じたことは、今まで持っていた恩田陸のイメージとは違うということだった。面白くないわけではないが、あの雰囲気が好きな自分にとっては肩透かしだった。といっても、全作品が同じ雰囲気だったらそれはそれで幅が感じられないという一面もあるのでこれはこれで面白かった。記憶をたどりつつ真相に向かっていくところも面白かったし。というか、ここまで書いてみて、やっぱり恩田作品だな、と思った。ミーナの更新のような、いかにもという雰囲気は弱いかもしれないけど、ラストのほうなどはやっぱり恩田作品だと思う。父親と家族の再会を果たす、という記憶に事実は塗り替えられていく、そして今までの人生の象徴であるかのようなナイフを埋めて、また新しい一日が始まる・・・。なんというか、朝もやの中にふと朝日を見つめる主人公の姿が浮かぶようで、物語に最後まで心をぐっと掴まれている事を実感した。もう一回この本は読んでみよう。きっとより楽しめる、そんな一冊だと思った。