恩田陸さんはジャズが好きなのでしょうか?この本は短編集ですが、ジャズのタイトルと同じものが2つあった。それは良いとして、思わず目を輝かせてしまったのは「水野理瀬」シリーズの続編が書かれていたことだった。あのシリーズが大好きな私としてはもうたまらない。理瀬自身は出てこなかったが、ヨハンの黒さっぷりはよかったし、なによりあの雰囲気を楽しめたことがうれしかった。
他にも「おはなしのつづき」「淋しいお城」「楽園を追われて」「卒業」などが個人的には面白かった。
「おはなしのつづき」は、主人公の語り口調で進められるが、大切な子供が死病に掛かって死んでいく様が切なく描き出されていたことが印象に残った。でも最後に妹の出生のことに触れられていて悲しいんだけど光に満ちた感じだった。
「淋しいお城」は変わった話だった。最後は自分自身が「みどりおとこ」になってしまうとは・・・。
「楽園を追われて」は、あとがきでも書かれているとおり、普通のお話だった。亡くなった友人が自分たちに残した小説。読めば読むほどにつまらないと原稿を受け取った人々は批判をするが、それでもそれぞれが何かを感じてそれぞれの日常に帰っていくという余韻が良かったと思う。良かったということでは普通のお話ではないのだろうな。
「卒業」はホラー系。背景は語られてはいないが少女たちが次々と間の手に掛かって斃れていく。すっかり主人公の少女に感情移入してしまった。
 
恩田陸の短編は初めてだったが、色々な世界観を楽しめた。読んでよかった。