大阪にいられるのもあと10日足らず。昨年の9月に仕事の関係でこっちに来てからあっという間に約束の一年が過ぎてしまった。天気は台風12号の影響で土砂降りの雨だったが時間を無駄に出来ないので頑張っていってきた。
【有隣館】
1月と8月を除いた第一、第三日曜しか開館していないと言う美術館。今日、行かなければひょっとしたら一生いけないかもしれない。開館時間も短いので、12時過ぎに京都について一番最初に向かった。5番系の岩倉行きの市バスに乗り市立美術館のところで降りて徒歩5分足らず。
受付を済ませ住所氏名を記帳した。関東から来ている人もいたようで、ここにくる事を念頭においてくるとは、たいした根性だと驚かされた。館内の係りの人たちは学生さんのようで、アルバイトだろうか?ほかのおじさんが「おじょうちゃんたちはどこの学生さん?」なんて美術館の中ででかい声で質問していたのが耳に入って話を聴いていると京都の大学の文化学部の学生さんとの事だった。学生の皆さん若いながらも気品を感じました。
どんなところかと思っていたが、見ごたえありました。中国の古美術品が中心だったが、一階にあった魏の時代の仏像が印象に残った。仏像をあんなに身近で見られるところもそう無いかもしれない。あと螺鈿の寝台もすごかった。寝台は3階にもあったと思ったが、これ作るのにどれだけ手間かけてるんだろうかと思わずに入られなかった。科挙の試験のときに受験生が着る服があり、それにはぎっちりと小さな文字が書かれていた。ぱっと見は柄にしか見えないのだが、どうやらこれはカンニング用だった、と言う話には笑わせてもらった。
中国皇帝が着る服(竜が刺繍されていてその竜には指が5本ある。五本指の竜は皇帝しか身につけることが出来ない)とか色々と勉強になった。
二号館というのだろうか?そちらの展示はガラッと雰囲気が変わって伊藤博文の書とか、秀吉が馬具に改造したペルシア絨毯とかも展示されていた。絨毯の真正面の服には太閤桐が染められていたが、その隣のよろいは秀吉のものなのだろうか?他にも藤原時代の仏像が飾られていたりして、全館見るとかなりの見ごたえがあった。
【野村美術館】
引き続いて5番系で野村美術館に向かう。バスで5分ちょっと揺られて南禅堂・永観堂道で下車、歩いて10分掛からないくらいで目的地に到着。「錦秋のころ~月・菊花・紅葉を愛でる~」というテーマの展示だった。まずは1階から。展示の後期には酒井抱一の作品が展示されるようだ。鈴木其一の作品が2点展示されていた。こういう絵、やっぱり好きだ。あとは展示室右側の焼き物にも惹かれるものがあった。部屋の中央の展示は小物ながらも季節感が出ておりたまらなく良かった。
地下の展示は韓国の茶器文化、というテーマで展示がされていたが、残念ながら私の完成にはあまりぴんと来なかった。なので、今回はあきらめていた「泉屋博古館」を訪ねることにして、こちらは早々に後にした。
【泉屋博古館】
野村美術館から歩いて10分程度、美術館の前の道をまっすぐ歩いていき、一つ目の信号の角に泉屋博古館はあった。入館料730円という不思議な金額だった。
中国青銅器の常設展から見ることにした。確か奈良国立博物館でも同じような展示を見たし、5月に根津美術館に足を運んだときにも見たので、正直「またか」的な気持ちになったが、ここの学芸員のおばさんが丁寧に説明してくれたことがすごく良かった。「トウテツ文」という模様をメインにその間も「魔が入らないように」という思想で他の模様で埋めたり、セミは復活の象徴、かえるは田んぼの守り神、ウサギは繁栄を表すなど、色々な意味を模様に託して表していることには非常に興味をそそられた。ひょっとしてラーメンのどんぶりによくある赤の中華マークはこれが原点なんじゃなかろうか?器の薄さも大変薄く、古い時代でも2~3ミリ、比較的新しい時代になると1ミリレベルになっていると言う事にも驚きを禁じえなかった。X線撮影して分かった取っ手のつけ方なども興味深い。何しろ展示品の量が半端じゃなく、じっくり見たら常設だけで楽に1時間を越える。途中少し急ぎ足になったが、第四展示室の銅鏡も興味をそそられた。裏側の模様を見ることはしばしばだったが、表の鏡の部分をここで初めて見た。素朴な疑問で、銅鏡の反対側はどうなっているんだろう、と思っていた(当然金属を磨いて反射するようにしているであろう事は想像していた)が、実際に見るとなるほどな、と思った。よく日本の神社などでも鏡をご神体にしているところもあるが、銅鏡がルーツなのかもな、と思った。
特別展示の中国絵画も良かった。漸江や沈恢、沈センとかが印象に残った。というかやっぱり時間が足りずにじっくり見ることが出来なかったのが残念だ。この美術館は住友系なので、東京にも美術館がある。東京と展示交換することもあるだろうから、またじっくり見ることが出来る日を楽しみにしたい。
17時ぎりぎりに美術館を後にして東天王町のバス停に徒歩で向かう。そこから5番系で河原町まで戻ったが、バスはかなりの混雑。そういえば、有隣館からこっちに向かうとき、市立美術館に行列が出来ていた。確かに今日は日曜だが、以前訪れたときには館内は込んではいたが、行列まではできていなかったので正直「うわぁ・・・」と思った事を思い出した。あの混雑も当然バス停に大挙するだろうとおもったのだ。果たして予想通り。バス停には乗り切れないくらいの乗客が。上手い具合に途中から座れたので(周囲に席を譲るスペースすらないので座らせてもらいました)助かった。河原町に着いて阪急にて戻ってきたのが18時30分。時間は足りなかったが、効率よく周ることができた。あとは、京都市立美術館を再訪することと、出来れば行きたいのが、姫路美術館の酒井抱一展。戻るまで休みはあと2日。無理かな~。
振り返ってみると、こちらでかなりの美術館を回れた。
大阪で3つ、奈良で3つ、京都で12、合計18箇所を周ることができた。
今までは音楽と読書だけが趣味だったが、こちらに来て得がたい趣味を得ることが出来たことは人生にとって得がたいことだ。
東京に戻ってももっと視野を広げていけるように楽しんでいきたい。