キャベツよく噛み肥満予防
働く心臓に恩返し
「休むことなく血液を全身に送り続ける心臓は、握りこぶし大くらいしかなく、どんなに太っても大きさは変わりません。つまり肥満は心臓を酷使するのです」と話すのは国立循環器病センター臓器移植部医師の簗瀬正伸さん。簗瀬さんは自ら3カ月で27キロ、ウエスト39センチのダイエットに成功し、体脂肪率も42%から23%に減少した。
ダイエットを始めるきっかけについて「運動不足とストレスで12年間に36キロほど太って96キロになった。完全なメタボ体形の私が患者さんに『ダイエットしましょう』といっても、説得力がないことに気づき、主治医がやせていくところを見せればきっといい刺激になるのでは」と一念発起したという。想像どおり、みるみるやせて健康そうになっていく主治医を目の当たりにして、「自分は何をやってもやせない」とあきらめかけていた患者さんたちも、楽しそうにダイエットを始めるようになった。
簗瀬さんが選んだダイエットは、食前に6分の1個のキャベツを10分間かけてゆっくり噛んで食べ、満腹感を味わうことで食事の量を減らすという方法。以前にも何度かダイエット経験があった簗瀬さんだが「運動する時間もなく、食べることが大好き。食べないダイエットは続かないし、ダイエットフードに頼ると、それをやめたときにリバウンドしてしまう」という苦い経験があった。そこで選んだのが、一年中手に入りやすいキャベツ。
キャベツにはビタミンCが豊富で、コレステロールや脂肪の代謝を促進するイノシトールという物質が豊富に含まれている。さらに食物繊維も豊富で、噛み応えがあり、よく噛むことで満腹中枢が満たされ、その後の食事量が減るという仕組みだ。
簗瀬さんがダイエットに成功すると、血圧、血糖値、中性脂肪値も改善し、服用していた中性脂肪と高血圧の薬もやめた。肌つやもよくなり、大汗をかかなくなったので、気にしていた体臭も感じなくなった。また少しやせ始めると、通勤も自動車から歩きに切り替え、体を動かす機会が増えるなど相乗効果が生まれた。ただし簗瀬さんのダイエット法はかなり急激なものであるため、人に勧める場合は、1カ月で2~3キロ、3カ月で体重の10%を減量するように指導しているという。
心臓の病気は気づかないうちに進行するが、高血圧、高血糖、中性脂肪、不眠、慢性疲労などは心臓にダメージを与える要因となる。心臓がより広範囲に血液を送り出さなくてもいいように、肥満を予防することが、“働き者”の心臓をいたわる、せめてもの恩返しなのだ。
「肥満は体を必要以上に早く老化させますし、寿命を縮めるリスクも高まります。アンチエイジングにとって、肥満予防は基本中の基本だと思います」と簗瀬さん。医師として身をもってダイエットに成功し若さと健康を取り戻した簗瀬さんの体験談は、今日も患者さんたちを励まし、健康長寿へと導いている。
出典:フジサンケイ ビジネスアイ