君がね、もう治る見込みのない病気だっていうのは友だちから聞いて知っていたよ。
お見舞いに行くには、昔のよしみとはいえ会っていない時間が経ちすぎているし、
ただ奇跡を祈っていたよ、いつかまた顔を合わせることができたらいいなって。
あの頃を思い出すとき、その場面にはいつもそばに君がいるよ。
いや、君のそばにわたしがいたんだっけ(笑)。
同じように、君があの頃を思い返すとき、その場面にわたしはいたかな?
好き、好き、って言っても、それには答えてくれなかったよね。
贈ったタオル、試合で使ってくれて、汗ぬぐうの見たとき、うれしかった。
手紙書いても返事はくれたことなかったよね。
でも、よく行った喫茶店のノートに、くせの強い文字でメッセージ返してくれて、うれしかった。
だれともつきあう気ないから、って言って、特定の子とはつきあってなかったよね。
でも、たまに一緒に帰ってツーショットになれるとき、
つきあってる気分になれてうれしかった。
オフコース、一回も歌ってくれなかったね。
でも、かぐや姫やアリスは弾き語りしてくれたね、ついでにNSPも。
NSP以外はうれしかった。
帰り道ギターケース持たされたね、重かったけどうれしかった。
よく生徒会室でじゃれ合ってたよね、負けたほうがビンタされるじゃんけんして、
熱くなって、ホンキで叩き合ったよね、叩かれてもうれしかったし(笑)。
にらめっこもしたよね、グリグリ頭突きして、鼻と鼻がくっついても、
くちびるとくちびるはくっつかなかったね、それ、今でも残念だし(笑)。
モテモテの君だったから、でも、言ってたように特定の子とつきあってなかったから、
君といっしょにいれることの多かったわたしは、ほかの子よりいい思いさせてもらってたよ。
いっしょにいれるだけで、ほんとにうれしくて楽しくて、
それ以上はいらなかった。
卒業して、学校が変わって、それぞれのことで疎遠になったけど、
あのときは、ほんとに君が好きだったな、一番好きだったな。
いちばん最後に君に会ったのは、20年前だよ、帰省して地元のデパートで偶然ばったり。
ごめんね、あのときのわたしの第一声、
「うそぉぉぉぉ、なんでこんなに変わっちゃったのぉぉぉぉ??」
君はずいぶんとオトナに変貌しちゃってたから(笑)。
わたしもオトナに変貌していたけどね(笑)。
そして、営業マンの君はスーツ姿。
ほとんど制服とジャージ姿しか知らないから、それ見れて、びっくりしたけどうれしかった。
今朝ね、朝刊を開いて、ついに見つけてしまったよ。
病状のことを知ってから、毎朝、無意識にそこに目がいってしまって、
そこに名まえがないことを無意識にほっとしてた。
でも、今朝、そこに名まえがあった。
君に対して、初めて「かなしい」気持ちになったよ、
今まで「うれしい」気持ちしかくれなかった君に。
今までも会うことはなかったけど、これからはほんとに会えないね。
わたしがいつかそちらにいくときは、君のとこも訪ねるよ、会いにいくね、
「あの日、あのとき、いっぱいうれしかったよ」ってちゃんと言いたい。
つらかったろうね、いまは安らかかな、おつかれさま。
今日はね、「海風」何度も聞いたよ。
明日、星になる?
見上げるから、またたいてね。








