999 | 椚田のブログ 

999

「妖怪人間やってるよ」
妻が言うので見てみると、ご存じベム・ベラ・ベロである。これはこれで懐かしかったが、驚いたことに、そのあと『銀河鉄道999』が始まったではないか。思わぬ衝撃を受けた。小学生の頃にリアルタイムで観て以来である。地元の局で夜遅くひっそりと再放送していたらしい。
 

 

もっと早く知っていたらと悔やんだが、今さらどうなるものでもない。この時間帯にテレビを観る習慣がないので、とりもなおさず毎週録画の予約をしておく。

999はいい。何がいいと言って、うら寂しいところがたまらなく良いのである。陽性の登場人物である鉄郎や車掌ですら、全編を覆い尽くす哀調に塗り込められている。その哀調の最たるもの、象徴、権化がメーテルその人であることは、いまさら語るまでもあるまい。

 

999熱に浮かされるようにしてフィギュアを買った。

 

 

古色蒼然とした小さな食玩である。だが、私がネットで探した中ではこれが一番メーテルの雰囲気をたたえていた。もっと大きなものや精密なものも色々とあったが、どれも顔の表現がいまひとつなのだ。松本零士の女性キャラクターは立体化するのが難しいのだろう。その点、この個体は目を閉じさせたことで成功しているように思える。

「人形は顔がいのち」という高名なコピーがあるが、私は初めてのフィギュア選びでこの法則に触れたような気がする。この型は6体ほど出品されていたが、よく見ると片方の眉が短かったりするものが、中にはあったりするのである。

ちなみに、これ以上踏み込むつもりはない。奥の深い世界なのだろうが、疑似餌やら筆記具やらで手一杯なので……

 

調べると放映はもう終盤にかかっているようだが、四十年以上たつのだからほぼ初見のようなもの。結末さえも忘れてしまっている。
残された二人の旅を見届けたい。