クリックゴールドについての考察 | 椚田のブログ 

クリックゴールドについての考察

クリックゴールドとは、フランスBIC社のボールペンである。
妻がティールグリーンを持っており、かねてデザインの良さに惚れ込んでいた。安価なので、仲間との集まりで配ったりしたこともあったが、自分では所有していなかった。いつでも手に入るという思いがあったからだろう。
 
ある日、ひょんなことから低粘度インクを使用した0.5mm版の存在を知る。しかもそれがBICジャパンの国産品だというではないか。試さない手はないと、注文してみた。するとこれが従来の0.7mmとは、思いのほか別物だったのである。
 
のたのたと紙に粘り付く0.7mmと比べ、書き味は現代的なものとなっている。アクロインキやジェットストリームには及ばないが、むしろ走り過ぎないサラサラ感には好感が持てるし、描線も十分に濃い。というわけで、ここまでは問題ない。
 
残念なのは、少し形が変わってしまったことである。
 

 

左が従来のメキシコ製0.7mmで、クリックゴールド最大の美点であるふっくらとした優美なボディラインを持っている。右が日本製の0.5mmで、ペン先へ向かうカーブがシャープになっていて、上下両端とも、やや唐突にカットされた印象を受ける。

 

 

クリップも変わった。上がメキシコ製。赤みがかった渋いゴールドで、付け根に向かって細くなるデザイン。下の日本製は黄色味を帯びた明るいゴールドで、造形が平板、かつ大ぶり。バネが強く、仕事で使うサコッシュのペン差しから片手で抜くことができない。

 

 

上がメキシコ製で、クリップ、リングに合わせた金色のペン先。下の日本製はシルバーとなっており、統一性を欠く。軸の素材がしっとりとしたブチレート樹脂からカサっとした質感のABS樹脂へと変更されており、ティールグリーンに関しては色味が明るくなった。

 

ずいぶんと国産0.5mmをあげつらう形になってしまったが、この比較によってますます0.7mmへの愛着が増した。何度も試し書きをするうちに、昔ながらのインクも悪くないとまで思えてきたのだから……

 

これまで手にしてきた筆記具の中で、クリックゴールド0.7mmのデザインが一番好きと言い切れる。