最後に選ぶクルマ
仕事でEとSという二種類のミニバンを運転している。
どちらも2リッターのFF、7人乗りでスペックは近いのだが、乗り味はずいぶん違う。
Eは実際より車体を小さく感じさせる乗りやすさが美点だが、面白みは全くない。いやむしろ、ミニバンはこれでいいのだろう。
しかしながらSには、駆ることの楽しさが思いのほか盛り込まれている。ピッチングが多めで、長重いものを運転している感が終始付きまとうのだが、それがなぜだか面白い。エンジン特性なのかATの設定なのか、ノーマルモードでも低回転からグイグイ前に出る。それらが合わさって、エンジンをかけると、「いくぞ」という気分に、少しなる。そうは言ってもミニバンだから、決してスポーティーと表現できるほどのものではない。
小学生の時にスーパーカーブームが到来し、その後、徳大寺有恒の薫陶を受けた私は、免許を取る前から大のクルマ好きだった。しかし、振り返ってみるまでもなく、実際のカーライフは地味なものとなった。生活の中心にクルマをもってくることが、結果的にできなかったのである。だからと言って、つまらない遍歴だったわけでもない。徳さんにかぶれたおかげで、クルマというものをどう見るのか、感じるのかという評価軸が育まれたのだろう。幸いなことに、凡庸なクルマにもちょっとした面白さを見出して、それを楽しむことができる。
電気自動車へのシフトが世界的な潮流となった。もう、これにあらがうことはできない。
個人的にはおそらく、次に選ぶクルマが最後のレシプロエンジン車になると思われる。では何に乗ろうか、と時々考えるようになった。
子供が独り立ちした今の状況を考えると、最も合理的な選択肢は軽である。それも悪くはないと思う。
しかし、最後だけは合理的じゃない選択をしてみたいな、とも思うのである。