近況
住まいから50キロほどに位置する津久井湖が最寄りのバスレイクである。
今年はここに通ってみようと決めていた。
初釣りは、『ザラスプーク友の会』の罰ゲームを兼ねて。
昨年のイベントでボウズをくらい、ザラ縛りで1日釣りをする刑が科せられたのであった。
もう半年以上バスの顔を見ていないので、親分に泣きを入れ、縛りを半日にしてもらったのだが…
蓋を開けてみれば、ほとんどザラばかり投げていた。
無反応のまま時間が過ぎていくが、これで釣りたいという思いが強かった。それに、オールドザラは動かしているだけで楽しい。
不意に水面からプラグが消える。
あちこちでハタいていたから、最初の突進で鯉だと分かったが、思いのほか大きかった。
ドラグを駆使しての長時間ファイトになった。こういうときに限って不思議とバレない。
ネットにも入らないので、船べりでなおも暴れる鯉の一瞬の隙をつき、ペンチでハリを外しリリース。
大物は大物だが、まったく嬉しくないのがバスマンの性である。
ほんの数秒で抜き上げられる30㎝のバスの方が、よほど嬉しいのだ。
結局ワンバイトすら得られないまま、定刻よりも一時間早くボートを返して釣りを終えた。
久々だったせいもあるが、体力がもたなかった。
八時間、九時間とエレキを踏みっぱなしで釣りをすることが、難しくなっているのかもしれない。
このあと、考えるところがいろいろあった。
釣れないと面白くないくせに、釣り方を選ぶものだから始末が悪い。
長門川に足が向いたのは自然の成り行きだった。
ペンシルとクランクで、懐かしい風景を撃ち進んでいく。
やたらボートが多いのは、大会をやっているからだと、すれ違った釣り師に聞く。
岸から離れた沈みブッシュに2Aが引っ掛かり、外れた直後にバイト。
落ち着いていなしたが、バスの急浮上に気づくのが遅れ、ボート際で首を振られてルアーを弾き飛ばされた。
完全に負け。
魚が水面に出ないよう、ロッドを水中に入れてゴリ巻きするという動作がとっさにできなかった。悲しいかな、フィジカルが完全に落ちている。
このバラシを、ずいぶんと引きずった。
やがて、雨が降り始めた。午前中で何匹か釣って、早々に切り上げるという計画はついえた。
本降りになるころには、あれほど浮いていたボートが、見渡すかぎり一艇もなかった。
シャローを走る2Aが、突然ひったくられる。これは行ったなと確信。
早めにケリをつけようと強気に出るのだが、まるで主導権が取れない。
ようやく浮かせたと思ったら、一気に反転した銀色の魚体は、スズキだった。
またもやドラグファイトである。
決して最後まであきらめない、素晴らしい戦いぶりだった。
ようやくネットに半身を導き、フックを外してリリースするも、横倒しに浮いてしまった。
疲れ切ったスズキに手を添えて縦にしてやると、ゆっくりと水底へ消えた。
こちらも少し息が切れていたので、座って休んだ。
おだやかな川面は無数の雨粒で光沢をうしない、幻想的な風景をつくりだしていた。
水位が下がり切っていたので、沖めの見えない何かを通すイメージで投げ続けた。
そしてついに、バスがこたえてくれた。
心底、報われたと思った。
時合めいたものを感じなくもなかったが、これで竿を置くことにした。
もはや、疲れはどこにもなかった。

