組曲 (SUITE)
41枚目となる中島みゆきのアルバムが先日発売された。レコード屋さんで予約して取りに行き、ポスターをもらうという由緒正しい買い方をする。
息を吹き返した6と、iPodとして使用している3GSに落とし込んで出張に出た。
これは傑作だと思う。
はなはだ身勝手な私見だが、以下に第一印象を記す。
1.36時間
いきなり泣かされる。曲調が耳に新しい。破綻や枯れとスレスレの唱法は、言葉を強く浮き立たせている。
2.愛と云わないラブレター
らしいメロディー。詞は身に覚えがある。
3.ライカM4
かつての『蕎麦屋』に続き、二度も歌にされたタムジン(デビュー以来彼女を撮り続けている写真家)に嫉妬を覚えるのは僕だけではないだろう。
4.氷中歌
本曲と『もう一度雨が』が、このアルバムのムードを決定づけている。フィクションとして聴けないほど作り手の孤独が横溢している。
5.霙の音
男には怖い歌で、それはもう逃げ出したいほど。でもこういう曲を歌い続けてくれるのは嬉しい。
6.空がある限り
まだ解釈できていない。7に続く感じがあるので、組曲というアルバムタイトルにあって何らかのキーのようにも思える。
7.もう一度雨が
当たり前の夢を見ることの難しさを繰り返し歌ってきた彼女の痛みがダイレクトに伝わり、苦しくなってしまう。
8.Why & No
これは同調圧力への抵抗と素直に読んでいいだろう。5につながるのかも?
9.休石
初めて聴いたとき死をイメージしてしまい、抜け出せないでいる。受け取り方として合っているのか誤っているのか、まだ分からない。
10.LADY JANE
スタンダードの風格を持つ曲だし、そのようにアレンジされていて楽しい。重く寂しい印象のアルバムを最後にすくい上げているが、世の移ろいを鋭く憂いてもいる。
がなり系の唱法が影を潜め、前々作の『風の笛』あたりからキーの高い曲が増えている。これによって歌が透明感を帯びてきたと感じる。
少し前の『雪傘』や前作の『ジョークにしないか』のような、言葉を置きに行く歌い方が色々な形をとって出てくる。
これらは既存の歌の巧拙を超えたものであり、ここに至ってまだ進化し続けていることに驚きを禁じ得ない。