昔話その10「トロフィー」
このテーマは今回をもって終了となる。
どう言いつくろっても自慢話でしかないので、あらかじめお断りしておく。
恥知らずにご失笑でもいただければ・・・
カスミ水系で釣りを始めて7年が経っていた。
それなりに魚の顔を見ることができるようになり、天狗になっていたと思う。
当時隆盛を極めていたトーナメントにも興味津々だった私は、サンラインの二十周年記念大会、
「ダイリキ・バスフェスティバルin霞ヶ浦」に、結婚して間もない嫁さんとエントリーした。
九月某日、天候は雨。
会場に集結した290名のアングラーを目にしたとき、血がたぎってめまいがしそうになった。
岸釣りの大会とはいえ、これが試合かと。
レギュレーションの説明等が終わり、スタート。
クルマでの移動が認められており、前もって狙い定めていたエリアへ。
気分はバスボートのスロットル全開である。
ポイントに到着。
幸い他のアングラーとのバッティングは無かったが、絶好のピンにヘラ師が・・・
私は当時もっとも自信のあったラバージグ、嫁さんはコンバットの名バッシングスピン・トゥルーパーにフラグラブのジグヘッドリグというセッティングで釣り開始。
雨で雰囲気抜群だが、意外にバイトが遠い。
他の競技者が来ることを危惧していたが、どうやらノーマークらしく、誰も現れないのは幸いだった。
小一時間ほど経った頃、雨を嫌ってかヘラ師が撤収。
まっすぐそこへ向かい、ジグをピッチング。
今でもどんなバイトだったか思い出せない。
脊髄反射的にフッキングが決まり、ガニングシャフトが最高の仕事をした。
ゴボー抜きしたバスのあまりのデカさに全身が震える。
メジャーを当てると、51cm。
優勝を確信した。
自身初めての50upでもあったが、7年間で48cmの壁を破れなかっただけに、岸からではそうそう出ないサイズであることは間違いなかった。
ケイテック・モデルⅠ・7g + ゲーリー4inグラブの現物。
あとは嫁さんのサポートとバスのケアに徹する。
間もなく彼女も36を釣るが、勝負には物足りない。
入れ替えを目指して頑張っていたが、その36が弱り始めたため、やむなくウエイインすることにした。
バスを入れたビニール袋を持って検量所へ。
「デカい!」という驚嘆の声をあちこちから浴びることのくすぐったさ・・・
スタッフによる計測結果では、49㎝。
一匹長寸で競う試合でサバを読んでも仕方ないので厳密に計ったが、釣り上げた直後は明らかに51だった。
もちろん公式記録に何の不満もありはしない。
2kg秤を振り切ったため、ウエイトは計測不能。
結果、私は優勝者としてコールされ、柳プロ、児玉プロらに囲まれて壇上に立った。
何をしゃべったのかあまり覚えていないが、
「いつも気持ちよく釣りに行かせてくれる嫁さんのおかげです」
などと計算含みのコメントを発したところを見ると、案外余裕があったようである。
賞品を満載した車で帰途に就いた私には、一つの大きな後悔があった。
願い出て、あのバスを自らの手で霞ヶ浦にリリースしたかった。
今でも、切に、そう思う。

