【社説】韓国に亡命した黄長ヨプ氏の10年間に及ぶ受難の日々
元朝鮮労働党書記で、現在韓国で亡命生活を送っている黄長燁(ファン・ジャンヨプ)氏宛てに顔に赤いペンキを垂らした黄氏の写真とナタの入った小包が送りつけられるという事件が起こった。
黄氏は先月行った講演で「金正日(キム・ジョンイル)政権の除去なくして北朝鮮問題の根本的な解決はない」と語っていた。小包には、その時の発言を指摘するとともに「背信者には必ず報復がある」と書かれた脅迫文が同封されていた。
黄氏のもとには今月13日にも「民族反逆者を懲罰する」という内容の印刷物が届き、2004年には包丁で刺した黄氏の写真が送りつけられたこともあった。
あと1カ月半で黄氏が亡命してから10年になる。黄氏は命の危険を顧みず家族を残して韓国へ渡った。北朝鮮や親北朝鮮勢力の脅迫に負けるような人物ではない。そんな黄氏にとってそうした脅迫よりもさらに耐え難いのは、自由を得るために逃れてきた韓国での自身を排斥しようとする政府当局の姿勢だ。
黄氏が韓国で過ごした10年はほどんど会いたい人に会えず、したい話もできないといった事実上流刑状態だった。脱北者のための情報誌を作って政府の北朝鮮政策を批判し、国家情報院に発行を止められたこともあった。黄氏が「わたしにも憲法上の基本的人権が保障されるべき」との声明を発表したことからも、その境遇は察するにあまりある。
2003年には1度だけ海外に渡航できる限定的な旅券を申請し、やっとのことで米国訪問を実現させたが、その行程には常に要員が同行し、すべての行動を監視した。それは黄氏と会見した米国議員が、要員たちを追い出そうとして小競り合いが起きたほどだった。黄氏はまた今年、米国の人権団体からミュージカル「燿徳(ヨドク)ストーリー」の公演への招待を受けたが、韓国政府が米国側に身辺安全を保障する覚書を要求したため、実現できなかった。
黄氏は1997年に韓国入りする際、「エセ主体思想、エセ社会主義が横行する北朝鮮の実態を暴露する」としていた。それから10年が過ぎたが、韓国では金正日に忠誠を誓う「一心会」という主思派(主体思想派)スパイ集団が暗躍し、そのスパイ容疑者の捜査で「民主」の名語る団体に所属した弁護人37人が弁護にあたり、公判の席では検事に向かって「民衆の血を吸う虫けらめ」といった罵声(ばせい)が上がったにもかかわらず、判事はそうした妨害行為に監置処分を下すことすらしなかった。
こうした状況を考えれば、黄氏が自身の回顧録を翻訳している日本人翻訳家に「韓国の状況に失望するあまり何度も自殺を考えた」とこぼした心境も十分に理解できる。
朝鮮日報/朝鮮日報JNS
黄氏は先月行った講演で「金正日(キム・ジョンイル)政権の除去なくして北朝鮮問題の根本的な解決はない」と語っていた。小包には、その時の発言を指摘するとともに「背信者には必ず報復がある」と書かれた脅迫文が同封されていた。
黄氏のもとには今月13日にも「民族反逆者を懲罰する」という内容の印刷物が届き、2004年には包丁で刺した黄氏の写真が送りつけられたこともあった。
あと1カ月半で黄氏が亡命してから10年になる。黄氏は命の危険を顧みず家族を残して韓国へ渡った。北朝鮮や親北朝鮮勢力の脅迫に負けるような人物ではない。そんな黄氏にとってそうした脅迫よりもさらに耐え難いのは、自由を得るために逃れてきた韓国での自身を排斥しようとする政府当局の姿勢だ。
黄氏が韓国で過ごした10年はほどんど会いたい人に会えず、したい話もできないといった事実上流刑状態だった。脱北者のための情報誌を作って政府の北朝鮮政策を批判し、国家情報院に発行を止められたこともあった。黄氏が「わたしにも憲法上の基本的人権が保障されるべき」との声明を発表したことからも、その境遇は察するにあまりある。
2003年には1度だけ海外に渡航できる限定的な旅券を申請し、やっとのことで米国訪問を実現させたが、その行程には常に要員が同行し、すべての行動を監視した。それは黄氏と会見した米国議員が、要員たちを追い出そうとして小競り合いが起きたほどだった。黄氏はまた今年、米国の人権団体からミュージカル「燿徳(ヨドク)ストーリー」の公演への招待を受けたが、韓国政府が米国側に身辺安全を保障する覚書を要求したため、実現できなかった。
黄氏は1997年に韓国入りする際、「エセ主体思想、エセ社会主義が横行する北朝鮮の実態を暴露する」としていた。それから10年が過ぎたが、韓国では金正日に忠誠を誓う「一心会」という主思派(主体思想派)スパイ集団が暗躍し、そのスパイ容疑者の捜査で「民主」の名語る団体に所属した弁護人37人が弁護にあたり、公判の席では検事に向かって「民衆の血を吸う虫けらめ」といった罵声(ばせい)が上がったにもかかわらず、判事はそうした妨害行為に監置処分を下すことすらしなかった。
こうした状況を考えれば、黄氏が自身の回顧録を翻訳している日本人翻訳家に「韓国の状況に失望するあまり何度も自殺を考えた」とこぼした心境も十分に理解できる。
朝鮮日報/朝鮮日報JNS
- 北朝鮮 崩壊へのシナリオ/黄長燁
- ¥1,890
- Amazon.co.jp