5年越しの政府系金融改革 政治部 御調 昌邦(10月31日)
政府系金融機関の統廃合を巡って、政府・与党内で複数の組織形態論が浮上している。小泉純一郎首相は「できるなら一つがいい」と発言しているが、それ以上の具体論を口にしておらず、関係者の思惑が交錯しているためだ。
先の衆院選で圧勝した首相の求心力アップは誰の目にも明らか。どの省庁も「首相に『抵抗勢力』とのレッテルだけは張られたくない」というのが大前提だ。政府系金融機関を所管する経済官庁では、再編後の組織形態について、首相が「1つでいい」と言いながらも、その前に「できるなら」と付け加えていることに着目。政府系金融機関の重要性を強調することで、なるべく生き残らせようとしている節がある。
改革を巡る首相の発言はこれまでも必ずしも絶対ではなかった。最近では郵政民営化法案ついて一貫して「修正は考えていない」と言っていたが、与党内で修正案がまとまると、すぐに受け入れたこともある。霞が関の期待はそこにある。与党の支持があるなら首相も1つにはこだわらないのではないか、というわけだ。
だが、これまでの議論の経緯をみると状況はそんなに甘くなさそうだ。先行きの議論を占う出来事が、27日の経済財政諮問会議で起きた。谷垣禎一財務相と中川昭一経済産業相がそれぞれ所管している政策金融の必要性を訴えたのに対し、首相が「財務、経産両省がいかに抵抗しているかが分かる。役人に引っ張られてはいけない」と叱責(しっせき)したのだ。首相は机をたたくほどの興奮ぶりだったという。
「政策金融は一つも触れさせない、と言っていた人がいた」。出席者によると、首相はこの時、こんなことも言ったという。正確にいえば小泉政権が発足した2001年だ。首相はこの時も政府系金融改革に乗り出した。しかし、当時の自民党行革本部最高顧問だった橋本龍太郎元首相が「景気がこんな時期に政府系金融機関には指一本触れさせない」と猛反発し、首相は結論を先送りせざるを得なくなった経緯がある。
景気低迷や不良債権の問題があったとはいえ、政府系金融機関の統廃合問題は、道路公団改革とともに「首相の改革路線は腰砕け」と酷評される時に例示されるテーマでもあった。それから4年。不良債権問題を解決し、念願だった郵政民営化法を成立させ、ようやくリターンマッチできるところまでたどり着いた。
諮問会議の現場を見ていたある関係者は「閣僚の考えか役所の振り付けか知らないが、首相が発想の転換を求めていることに応えていない。完全に流れを読み間違えている」と解説する。霞が関の反発の強さを身にしみて分かっているからこそ、首相は「できれば……」と言ってみせたのではないか。案の定、抵抗勢力が国民の目にも見える形であぶり出されてきた。
8つの政府系金融機関を1つから3つに集約するのが現在の相場観。1つか、2つか、3つか。「数合わせ」の議論に陥りつつある感もあるが、霞が関の官僚たちが期待する数字での決着は期待薄かもしれない。
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