カーボンナノチューブ使い「人工原子」を作製
カーボンナノチューブを使って、原子のように振る舞う「人工原子」を作り出すことに、理化学研究所などが世界で初めて成功した。半導体による人工原子はすでにできているが、それよりも直径は300分の1と圧倒的に小さく、次世代コンピューターへの応用のほか、パソコンの超省電力化、小型化などにもつながるという。13日付の米物理学専門誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載される。
カーボンナノチューブは直径1ナノメートル(ナノは10億分の1)程度の筒状の構造で、炭素でできている。同研究所の石橋幸治主任研究員らは、長さ300ナノメートルのチューブ内に電子を閉じこめ、両端に電極を配置し人工原子を作った。電圧をかけてその中に電子を一つずつ入れていくと、原子核はないものの電子が飛び回る軌道がみられるとともに、磁場をかけると電子のエネルギーが変化し、まるで原子のようになった。
石橋主任研究員は「パソコンのトランジスタを小さくしようとすると、熱が増えるのが問題点。電子を一つずつチューブに入れていく単電子部品なら発熱が極めて少なく、パソコンの小型化にもつながると思う」と話している。【下桐実雅子】毎日新聞 2005年5月10日 21時08分