旧日本軍遺棄化学兵器 移動式施設で処理 政府検討、低コスト回収可能
2005年 6月29日 (水) 03:03
政府は二十八日、中国各地に遺棄された旧日本軍の化学兵器を一次処理するため、移動式処理施設を導入する方向で検討に入った。一台四十億円前後で、平成十八年度予算案への計上を目指す。六月末、南部の広東省広州市で初めて、遺棄化学兵器のガスによる事故が発生し、今後も広範囲で見つかる可能性があることから、政府は固定処理施設より低コストで、日本への持ち帰り可能な移動式処理施設を導入することで、遺棄化学兵器の処理を急ぐ考えだ。
中国国内の遺棄化学兵器は、一九九七年四月に化学兵器禁止条約が発効したのを受け、日本が二〇〇七年四月までに廃棄する義務を負っている。日中両政府は、遺棄化学兵器の九割以上が埋まっている北東部の吉林省ハルバ嶺に大規模処理施設を建設することですでに合意。処理施設の建設費用は二千億円程度にのぼる見通しで、年内にも入札を実施する方向で調整している。
ただ、建設費を節減するため、集中処理施設をハルバ嶺地区の一カ所に建設させたい考えの日本に対し、中国側は「(化学兵器の)移動にともなう危険回避」を理由に、ハルバ嶺に加えて各地に一次処理用のサブプラント(小規模施設)を建設するよう求めている。
サブプラント設置場所は、化学兵器を装着した砲弾の一時保管庫がある北京や南京など五カ所に上るとみられ、中国の要求を額面通り受け入れた場合、日本の拠出金は一兆円以上という莫大(ばくだい)な額になる可能性もある。
このため、政府は砲弾の解体が可能な移動式処理施設の導入を検討。処理施設はトレーラーに簡易処理施設を搭載するもので、ハルバ嶺以外の各地で見つかった化学砲弾を解体、廃棄物をハルバ嶺に運ぶ。全作業終了後は、移動式処理施設を日本に持ち帰る方向だ。
〇四年度の対中政府開発援助(ODA)新規供与額は円借款と無償資金協力をあわせて約九百億円。政府はこれとは別に〇五年度から四年間でハルバ嶺に遺棄兵器の発掘、回収、保管を行う処理関連施設を七百八十億円で建設することを決めている。
政府は処理施設の形態について「あくまでも日本の遺棄化学兵器を処理するのが基本だ」(細田博之官房長官)としているが、「老朽化した中国産兵器の処理への転用は可能」(自民党若手)との懸念もあり、廃棄終了後に処理施設をどうするかも課題となっている。
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《遺棄化学兵器》第二次大戦中に旧日本軍が対ソ連戦に備えて中国に持ち込み、終戦時に中国国内で武装解除され、残した化学兵器。砲弾に糜爛(びらん)剤(マスタード)や窒息剤(ホスゲン)など6種の化学剤を装填(そうてん)した。残存数は日本側は70万発と推定し、中国側は200万発と主張している。中国国内の遺棄兵器には旧ソ連製の砲弾も含まれているとされる。