昨日のニュース
一部で返済のいらない給付型奨学金制度が出来るようです
鍼灸、按摩マッサージ指圧師免許を取得するには
最低3年間の専門課程を習得する必要があり
およそ500万円という費用が必要となります。
そこで、学校では『奨学金制度』の説明会なども催され、学生の中にはそれに頼る人もいました。
一方で、私は奨学金制度は用いませんでした。
それは、入学を決意した時点で
貯金額+在学中に年間で100万円程度稼ぎ
全額を学費に投資すればこと足りると覚悟していたからでした。
ただし、それ以外のことには一切お金をかけられないという条件が付きました。
ちなみに、入学を決意してから入学までの期間は2週間、入学まで1ヶ月余りだった為、貯金を貯める余裕もありませんでした。
同級生からは
「『奨学金制度』使えば良いじゃんか。馬鹿だな。」
なんて言われたこともありましたが、
しかし、私には当時からそれが一見クリーンな名称とは裏腹に『借金をする』というザワザワしたイメージしかありませんでした。
私は大凡の卒業後の展望も見据え
それは大きなリスクだと感じて選択肢にありませんでした。
ちなみに、これは入学後に知ったことだったのですが
およそ500万円という予算には
自主的に鍼灸の練習をする為の材料費や
追試を受けることになった際にかかる負担や
国家試験の受験料や
国家資格の申請にかかる費用などは含まれません。
ギリギリの条件でお昼ご飯すら購入出来ませんので、
お昼は食べないか、たまに1個のパンを時間をかけて食べたりもしていました。
もちろんガラケーからiphonへの切り替えなども考えられませんし、新しい服も買えません。
今考えればその姿は端からも貧相に見られていたかもしれません。
(そもそも外面の良い服がなかったという問題もありました)
「志村さん、働いたお金何に使ってるんスか?」なんて言われたこともありました。
言った当人は自覚的に皮肉ったつもりのようです。
私個人としては特別に嫌悪感として受け止めなかったのですが
コンプレックスを抱える貧困層がこれを言われていたら屈辱だったでしょう・・・
医療人を志す者としてその神経を疑ってしまいました。
ただ、そのように見られているという空気は学年中から感じてもいました。
ともあれ、私は順調に卒業することが出来ました。
奨学金制度が問題視され、報道されるようになったのはその後のことでした
幸い、針灸師、按摩マッサージ指圧師は条件さえ問わなければ就職先に困ることは現状ではありません。
(むしろ就業率の低さの方が問題のようですが)
しかし、私の今日までの道程は、卒業後の奨学金返還を前提にしていた場合には今のようにはありませんでした。
それを含め、私自身の選択にはまったく見誤りはなかったと考えています。
ここ最近のことですが
同業者と『貧乏』に対する意識について議論をしました。
「志村くんは本当の貧乏を味わったことないから分からないと思うよ。貧乏って惨めだよ。」
本当の貧乏とは何かは定義出来るものではありませんし、それはまた更に議論の余地がありそうです。
ただ、確かにそれはその通りだと心に突き刺さりました。
私が学費の支払いに親を頼ることをしなかったのは、自戒の意味もあったのです。
奨学金制度は
それを受けなければ学校に通うことも出来ないという人や
より有意義に学生生活を送ってもらう為にあります。
ただ、どのような将来像があり、どのようにお金を使うかを充分に吟味する必要があります。
理想は学費が無償化され、学びたいことを誰もが学べることかもしれません。
ただ、そうではない現状では依然として覚悟が問われる問題です。
参考
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161125/k10010784161000.html