こんな車で旅をしたいと、ほんの一瞬だけ思った。

キャンピングカーって、いくら出せば買えるのだろう。
風や雨、寒い暑いに関係なく、快適で便利な旅ができるのだから、そりゃ半端な金では買えまい。
しかし有史以来、旅はもともと風雨にさらされ、夏は暑くて冬は寒い。それが当たり前だったはずた。
不便で快適ではない旅が当たり前。でなけりゃ、旅ではない。
キャンピングカーでの移動は、そりゃ快適だろう。プライベートな空間そのままが、物理的に移動する。
しかし、自分がいる空間を捨てる旅は、それほど金をかけなくてもできる。
とにかく、自分には貧乏旅のほうが性に合っている。いや、そう言い聞かせるのだ。
ところで最近は、高価なカーナビに慣れて、それより遥かに安価な地図を読めない人間が、増えている。
ひがみ根性かも知れないが、俺はカーナビなどなくても、地図があれば目的地までは行ける。
時には、地図なしでも勘で行ける。日本地図にある町の位置は、だいたい頭に入っているのだ。
売れない貧乏フォークシンガーは、旅に慣れている。
これは、本当だ。
さあ、これから貧乏旅に出ようか。