デスクトップウォーズ 4色ボールペン×カッターナイフ
ナイフ「ったくよー、ありえねぇだろうがよ!んぁ?ふざけんなよ!あー、イライラすんなー」
4ペン「どうしたんですか?」
ナイフ「うるせぇ、おめぇに関係ぇ無ぇだろうがよ」
4ペン「それはそうですけど、すぐ隣でそんなにイライラされたら、こっちもおちつきませんから」
ナイフ「『こっちもおちつきませんから』じゃねぇーよ、」
4ペン「そんな。 おこらないでくださいよ」
ナイフ「怒ってねーよ。っつーかよぉ、おまえのしゃべりかたさー」
4ペン「なんですか?」
ナイフ「なんかイライラすんだよ」
4ペン「そんなふうに言われても、僕はフツーにしてるだけなんですけどねぇ」
ナイフ「かーーー!『僕はフツーにしてるだけなんですけどねー』 あ”ーイライラするー。天才きどりか!」
4ペン「天才って、僕はそんなつもりはありませんよ」
ナイフ「『僕はそんなつもりはありませんよ』じゃねーよ、何様だよ!あ”ーイライラするー」
4ペン「そんな風に、すぐキレルのは身体によくないですよ?」
ナイフ「悪りぃかよ?」
4ペン「いえ、僕はちょっと心配に思っただけです。」
ナイフ「あ、ありがとう」
4ペン「いえいえ」
ナイフ「とか言ってよー、内心、『カッターナイフなんだから、テメーはキレてあたりまえだろ』とか思ってんだろ?」
4ペン「やめてくださいよ、そんな言いがかり」
ナイフ「『やめてくださいよ、そんな言いがかり』 ・・・・・・・・・くぁーーーーー!イライラする!」
4ペン「ちょっと、僕は何も言って無いじゃないですか」
ナイフ「俺にはわかんだよ、お前が頭の中でなに考えてるか?くらいはな。くぁーーーー、」
4ペン「・・・・・・」
ナイフ「どうせ頭の中も4色なんだろ?あっちでこう言って、こっちでこう言って。」
4ペン「そんな、」
ナイフ「じゃあ、聴くけどよ」
4ペン「はい。」
ナイフ「俺がこうやって、なにかとキレテるのをよぉ、一度くらいは笑ってみてたことあんだろ?」
4ペン「・・・」
ナイフ「どうなんだよ? ・・・んぁ?どうなんだよ?」
4ペン「・・・・・・・・・・そりゃ、1度くらいはありますよ、よくキレルなぁって」
ナイフ「ほれ見てみろよ」
4ペン「だって、カッターナイフがきれるとか、オヤジでも言わないですよ」
ナイフ「誰がオヤジだよ。なんだよ?悪いかよ?昭和生まれのカッターナイフですよ?悪いですか?え?いけませんか?
ダイヤルまわして刃を止めるネジ式ですよ?悪いですか?」
4ペン「いけないなんて言って無いじゃないですか、よくきれるなぁって思っただけです」
ナイフ「いけませんか?切れなくなるたんびに少しずつ折って折られて、小さくなって、今じゃ、あと3回分くらいですよ?それがなにか?」
4ペン「クスッ。今日もよく切れますね。気持ちがいいくらいに(微笑み)」
ナイフ「くぁーーーーー、何様だぁ!てめぇ、なんだ?いっつもいっつも上から目線でものを言いやがって」
4ペン「上からって、そんなつもりじゃ」
ナイフ「あー、あれですか? 4色あるからえらいんですか? ボールペンの中でも、4色あるから?」
4ペン「正直、うん。自分で言うのもなんですけど、素直に便利だと思いますけど」
ナイフ「くあーーーー出たよ。『便利だと思いますけど』 けーーー、ナニモンだてめぇ」
4ペン「私はただの4色ボールペンです。ただって言っても、メーカー希望小売価格550円ですけど」
ナイフ「『メーカー希望小売価格550円ですけど』 くぁーーー、イライラさせんな! 知ってるよ、お前の横っ面見りゃわかるよ」
4ペン「カッターさんは、おいくらだったんですか?」
ナイフ「なんだよ?文句あんのかよ?」
4ペン「いえ、ただの好奇心でお尋ねしただけですけど」
ナイフ「もうわかんねぇよ、っつーか、バーコードがついてたかどうかすらわかんねぇよ」
4ペン「フフッ、そうだったんですか(微笑み)」
ナイフ「なにわらってんだよ?んあ?」
4ペン「笑ってませんよ」
ナイフ「文房具屋のおとうちゃんがひとつひとつそろばんはじいて売ってたんですよ?いけませんか?」
4ペン「なつかしいですよね」
ナイフ「はいはい、いいですねいいですね、バーコードもついて、黒も赤も?青も!さらに緑までついて!」
4ペン「お買い得でしょ?」
ナイフ「『お買い得でしょ?』じゃねーーーーよ。なんですか?複数の色が書けるとえらいんですか?」
4ペン「そんな、それもうひがみじゃないですか」
ナイフ「黒がかけると少しえらくて、赤が書けるともうちょっとえらくて、青が書けるともっとえらくて?」
4ペン「ちょっと、なんなんですか?(笑)」
ナイフ「緑が書けるレベルになると、それはもう文房具の世界では、『天才』・・・!」
4ペン「 『天才』 言うと思った(笑)」
ナイフ「ニヤニヤしてんじゃねぇよ! かーーーーーもうイライラすんなぁおめぇ」
4ペン「天才っていう言葉好きですよね」
ナイフ「『天才っていう言葉好きですよね』。。。。。くぁー、好きですよ好きですよ?いけませんか?」
4ペン「だと思ったんです」
ナイフ「あ。(急に思いついて)なぁ?おまえさー?」
4ペン「なんでしょう?」
ナイフ「緑、」
4ペン「なんですか?」
ナイフ「緑、へってなくね?」
4ペン「・・・・・・」
ナイフ「減ってないですよね?あんまり。 おや?図星ですか?」
4ペン「・・・・・・べつに。それが何か?」
ナイフ「あははははははは、やっぱりそうなんだ!減ってないよね?緑?」
4ペン「・・・・・・だから? なんなんですか?(泣きそうに)」
ナイフ「4色あるんだから、もっとどうどうとしてくださいよー、たとえ緑を使ってもらえてなくても」
4ペン「・・・・・・それ以上言うと、切れますよ」
ナイフ「ぬはははは、ぼうず、切れるのは俺の仕事だよ」
4ペン「下手なんです、あの人。緑の使い方、下手なんですよ。ついでに言うと、青もほとんど減ってません」
ナイフ「え?なんで?青は使うだろ?」
4ペン「そう思いますよね? 最初は、僕、手帳にはさんで使ってもらえていたんです」
ナイフ「おお」
4ペン「あの人、緑色、結局1度しか使いませんでした、っていうか、正確に言うと、ゼロ回です」
ナイフ「ぜろ?」
4ペン「お店で、試し書きした1度だけです。青だって、カレンダーの土曜日に、くるっと丸を描いただけ。
4月と5月にそうやって使って、6月からはやりませんでした」
ナイフ「赤は?」
4ペン「赤は、ですから、日曜日に丸をくるっと。あとは、お仕事が休みの日に、休みと漢字を一文字書いて」
時折、大切な用事には、時間を赤で書いたり、印をしたり、まぁ、それなりに、ですけどね」
ナイフ「結局、黒だけ使ってたと?」
4ペン「そうなんです。黒がなくなったから、新しいボールペンに替えたみたいです」
ナイフ「おまえの次は、2色とか?」
4ペン「いえ、黒1色」
ナイフ「それは正しい判断かもしれないな」
4ペン「それは、僕もそう思います。だけど、僕だってまだまだやれるんです、リフィル買ってくれば」
ナイフ「リフィル?」
4ペン「替えの芯です、黒の。まだ、売ってるんです。
僕だって、ロングセラー商品ですから、買ってもらったのは4年前ですけど、まだ手に入ります。
あの人のよく行く、あの文房具屋さんならまだあります」
ナイフ「替え芯か。。。悪かったな、あることないこと、」
4ペン「やめてください、僕はべつになんとも」
ナイフ「お前のこと、正直今日まで好きじゃなかったんだけど、言いすぎたよ。すまなかった」
4ペン「いえ、やめてください」
ナイフ「替え芯っていうのなら、俺も。な」
4ペン「もしかして?」
ナイフ「統一規格ってやつさ。俺だって、まだやれる、やれるはずなんだ、けどな」
4ペン「カッターさんも・・・」
ナイフ「俺の場合は、古すぎるから手に入るかどうかわからないが、少なくとも、まだ、あと2回はこの刃が折れるんだ、新しく使えるチカラは・・・まだ残ってる」
4ペン「知らないんですよ、ね」
ナイフ「そうだな」
4ペン「文房具屋さんのおとうさんとおかあさんなら、きっと使ってくれますよね、僕らのことも」
ナイフ「あぁ、間違いないな、特におかあちゃんは、新聞に入ってるチラシの裏使ってメモ書きしてたしな、自分の店でメモ帳仕入れてんのに」
4ペン「そうそう、クリップで留めて、電話のところと、自宅のテレビの横のところの小さな戸棚に」
ナイフ「よく知ってるな」
4ペン「僕も、あのお店から来ましたから」
ナイフ「そうだったか。お前の青も緑も、おかあちゃんの手に掛かれば、一生モンだよ。」
4ペン「もっと大切にしてもらえたらいいですよね、僕たちの後輩も」
ナイフ「そうだな。っつーか、あきらめんな、お前だって、まだ、インク詰まってんだろ?」
4ペン「はい」
ナイフ「俺たちは、まだ机の上のペンたてに置いてもらえてるんだ。可能性はゼロじゃない」
4ペン「そうでした。そうですよね、僕たちだってまだ」
ドアが開く
ナイフ「しっ、静かに、あの人が来た」
足音
椅子に座る音、
携帯が鳴る
ピッ
(人間の声はしない)
ナイフ「お前の出番だぞ、ほら、いってこい、赤でも何でも」
アルミ製っぽいペン立てから取り出して、二度三度カチカチやる
紙の上で何か書く音
切り替えて、書く音
電子音
ボールペンがペン立てにもどる
足音がちょっと急ぎ気味に部屋を出る。
ドア閉まる
ナイフ「お帰り」
4ペン「ふー」
ナイフ「緑色、大活躍じゃねぇか!」
4ペン「ふーー。ちょっと、大忙しでした」
ナイフ「赤色も、青色も大活躍だったな」
4ペン「はい!やりました!」
ナイフ「いい顔してるじゃねぇか」
4ペン「そんなことないですよ」
4ペン「あ、カッターさん!」
ナイフ「なんだ?」
4ペン「こんど、怒ってやってくださいよ!その自慢の切れ味で!」
ナイフ「そうだな。それもいいな。怪我しない程度にやってやるか」
4ペン「さぁ、僕も少しだけ準備をしておきます。インクが出やすいように」
ナイフ「そうそう、その息だ!」
4ペン「カッターさん、」
ナイフ「ん?どうかしたか?」
4ペン「僕、ちょっとあこがれてたんです、カッターさんのその鋭い切れ味に」
ナイフ「俺は、コレしかできないからよぉ」
4ペン「僕も、インクを出すことしかできないですから」
ナイフ「俺たち文房具はそんなもんさ」
4ペン「そうですよね。カッターさんありがとうございます」
ナイフ「バカやろう、こっちの台詞だ。これからも、仲良くやろうや」
4ペン「はい!」
-end-