『 記憶 』
**シーン039 @峰島唯
日下部さんは充血した目を、さらに真っ赤にして喜んでた。
「唯ちゃんに救われたな」
優しく笑ってくれた日下部さんも、おとうさんの書いたこの台本を、すっごく好きなんだって知った。
病室のドアが開いて、おとうさんが戻ってきた。
日下部さんが振り向いて尋いた。
「峰島? 先生、なんて?」
おとうさんは「うん」と頷いてから、ベッドのそばに立ったままで、おかあさんを見た。
「景子」
おかあさんが少しだけ緊張した表情で「はい」ってだけ返事した。
日下部さんが落ち着かない感じで「お、おいなんだよ?」って言った。
おとうさんがおかあさんに言った。
「さっき、先生に言われたんだが……」
間に挟まれた日下部さんが、座ったまま右を見たり左をみたりしてる。
おかあさんは真っ直ぐにおとうさんの目をみつめてた。
おとうさんが言った。
「退院しても良いそうだ」
一番に日下部さんが口を開いた。というか、立ち上がって言った。
「マジでか!」
つづく