☆ジャイロトロン

 

ジャイロトロンGyrotron)とは、サイクロトロン共鳴メーザー原理を応用したマイクロ波ミリ波真空管の一種。ジャイロトロンの名は、磁場中のらせん運動(ジャイロ運動)に由来します。ジャイロトロンは、数十GHz から数百GHz(遠赤外/テラヘルツ)領域で動作する電磁波源です。この周波数帯において、 1000キロワットクラスのパワーで出力できるジャイロトロンを超える高出力の装置は他に無く、様々な分野での応用が期待されています。

 

 

 

最初のジャイロトロンは、1964年にソビエト連邦のゴーキー(現在はロシアのニジニノヴゴロド)で発明された。

 

 

 

種は、オーストラリアの天体物理学者R. Q. Twiss1958 (昭和33)年にサイクロトロン共鳴メーザ(CRM Cyclotron Resonance Maser)の原理を提唱により、検証実験が、米国のハーシュフィールド (J. L. Hirshfield)ほかによって試みられたが、出力 (~kW)、効率(~2%)ともかなり低くかったが、ソ連の研究者達がマグネトロン入射電子銃(MIG Magnetron Injection Gun)を使ってCRMの性能を大幅に向上させ、ジャイロトロンとして発表した。

 

 

 

 ジャイロトロンは大型の真空管で、図に示す様に、超伝導マグネットに挿入されます。

電子銃から放出された電子は、磁力線に沿って空胴共振器へ入り、その運動エネルギーが電磁波のエネルギーに変換されます。共振器を出た電磁波は、モード変換器により空間分布を整形され、真空窓からガウシアンビームとして放射されます。

 

 

 

 マグネットが作る磁場の中で、電子は高速でサイクロトロン運動(回転運動)をします。ジャイロトロン発振は、電子の回転運動のエネルギーを電磁波のエネルギーに変換するサイクロトロン共鳴メーザー作用を利用したものです。強磁場を用いると、電子を高速で回転運動させることができ、その回転周波数に対応して、発振周波数を高くすることができます。

 

大電力のマイクロ波は、核融合炉内の燃料(水素プラズマ)へ入射することにより、核融合反応が効率よく起こる温度に加熱したり、プラズマ中で発生した乱れを抑制したりするために用いられます。

 


核融合炉用ジャイロトロン(加熱用)

 

 

 

 

☆ガンダイオード

 

ガンダイオード(英Gunn diode)は、GaAs(砒化ガリウム)、InP(燐化インジウム)などの化合物において見られる現象で、通常のダイオードP型半導体とN型半導体から成るのに対し、ガンダイオードN型半導体のみにより構成される。 物理学者J.B.ガンの名に由来する。

 

 

 

n型半導体GaAsInP結晶の両端に端子を付けたものである。ここに直流電圧を掛けると、結晶の厚さに応じた周波数で振動する。結晶厚を10µm程度にすると振動は10GHz程度になり、マイクロ波となる。 マイクロ波発振器などに使われるダイオードの一種。出力は小さく、主に通信用のマイクロ波発振器で利用される。

 

以上です。

 

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