お題台本ブログ

お題台本ブログ

こちらのブログでは、宮越がお題台本キャスで書いた台本をアップしていきます。

こちらのブログは、宮越が「お題台本キャス」で書いた台本をアップしていくものです。


「お題台本キャス」とは?

リスナーの皆さんからお題を頂き、そのお題をすべて回収しながら台本をリアルタイムで書くというツイキャス配信です。

宮越の台本を書く練習を兼ねているので、基本的には舞台で公演する予定は考えておりません。

演劇部の練習や、個人的に楽しみながら読んでいただけると幸いです。

万が一公演などで使用される場合は、お手数ですが宮越のtwitterのDMにてご連絡いただけると幸いです。

宮越twitter @AyaGoe3

よろしくお願いいたします。
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テーマ「陰陽師」

コメントで頂いたテーマ

『晴』『雪』『カフェ』

『嘘』『因縁』『豆腐』『鏡餅』

(コメントありがとうございます!)

 

年末お題台本配信「現代版陰陽師―雪の花―」

 

 

登場人物

・はる

陰陽師として活動するフリーター

カフェ「スノードロップ」でバイトしている

陰陽師としての腕前は完璧だが、それ以外は無能

※スノードロップの花言葉は「あなたの死を望みます・慰め」

可憐な花で可愛いイメージのお花でポジティブな花言葉は「希望・恋の最初のまなざし」

 

・マスター

「スノードロップ」のマスター

おそらく陰陽師を過去にやっていた経験があるが、はるには内緒にしている

 

・たちばなさん

「スノードロップ」の常連で、はるのご近所さん。いつもはるの仕事を手伝ってくれる。

 

・どぅーちゃん

「はるちゃまファンクラブ」の代表(なおメンバーはどぅーちゃん一人)

意外な場面ではるより役に立つことがある人物

 

雪女

今回の敵にあたる妖怪

どうやらマスターと因縁があるらしい

 

 

 

第一場面「日常」

 

場所はカフェ「スノードロップ」

暇そうに働くはる

ふと窓を見る

 

はる「わー・・・ゆきだぁー・・・さむそー」

マスター、お店に入ってくる

はるの姿を見て

 

マスター「おい」

はる「んー?」

マスター「なんだその顔」

はる「顔?」

マスター「その、なんだ・・・間抜けそうな顔だよ。君一応うちの従業員なんだよ?もっとチャキッとしてよ。」

はる「間抜けって・・・失礼にもほどがありますよ!」

マスター「事実を言ったまでだ。」

はる「そんなんだから彼女も出来ないんだ!」

マスター「ったく。失礼なのはどっちだ・・・」

 

♪カランコロンカラン

 

マスター「いらっしゃいませー」

 

店に入ってくるたちばなさん

 

はる「なーんだ、たちばなさんか。」

マスター「おい、ちゃんと挨拶しろ。」

はる「らっしゃいませー」

たちばな「相変わらずだね、はる君は。」

マスター「あぁ、まったくだ。」

たちばな「でも人手不足だからねーこのカフェ。」

マスター「そうなんだよ。こんなやつでも、雇わないとやってられないんだよ」

はる「こんなやつだって、まったく・・・失礼にもほどがありますよ!」

たちばな「ねー、しつれいだねー」

マスター「君はどっちの味方なんだい?」

たちばな「別に?いつものお願い。」

マスター「はいはい」

 

たちばな、席に座る

 

たちばな「時にはる君」

はる「なに?」

たちばな「最近巷で噂になってるやつの存在は知ってる?」

はる「新種の妖怪!!??」

マスター「声が大きい!店の中で妖怪の話をするな」

はる「いいじゃん、たちばなさんしかいないんだし。ほかにお客さん来ないでしょ?」

マスター「たく・・・」

マス・はる「「失礼にもほどがありますy」」

マスター「お前が言うな!!」

たちばな「話を戻していいかな?」

はる「どうぞ」

たちばな「その妖怪なんだけど・・・どうやらマスターと因縁があるみたいなんだ」

はる「マスターと?なんで?マスターは陰陽師じゃないじゃん」

たちばな「まぁ・・・ねぇ」

 

マスターを見るたちばなさん

マスター、ジェスチャーで黙ってて

 

たちばな「今回の妖怪は雪「女」なんだ」

はる「あー・・・ねぇ」

マスター「なんだその反応」

はる「いや、まぁた女絡みかぁって」

マスター「またって・・・」

はる「で?その雪女は一体どんな悪さをしてんのさ。」

たちばな「おもに男の人たちに嫌がらせをしてる」

はる「嫌がらせ?」

たちばな「こんなに寒いのにホットのコーヒーをすぐ冷たくしたり」

はる「しょーもな・・・」

たちばな「階段に氷を張ってすべらしたり・・・」

はる「え、しょーもな・・・なんかスケールちっちゃいな」

たちばな「でもなんか・・・油断させといていつか大きいことをしでかしそうじゃない?」

はる「なるほど、その前にぼくが退治すると・・・」

 

マスター、豆腐ドーナツとコーヒーを出す

 

マスター「はい、いつもの」

たちばな「ありがと」

はる「でもその雪女、一体マスターに何されたんだろうね」

マスター「・・・」

たちばな「・・・思い当たる節は?」

マスター「・・・」

 

回想

 

第二場面「マスターの過去」

 

はる、たちばなさん、後ろに下がる

照明が変わる

マスターセンターへ

雪女が舞台袖に現れる

 

マスター「出たな・・・妖怪!」

雪女「妖怪だなんて・・・失礼しちゃう」

 

そっと雪女が顔を見せる

顔を見て少し躊躇するマスター

 

マスター「お前・・・なんで」

雪女「なんでって・・・理由はあなたが一番わかってるんじゃない・・・?」

マスター「・・・」

雪女「だんまり?本当、どこまでも失礼な人。これだから男は・・・」

 

吹雪が強くなり目の前が霞む

気が付くと雪女がいなくなっている

元に戻る照明

いつの間にかはるの隣にいる「はるちゃまファンクラブ」の少女(どぅーちゃん)

 

第三場面「雪女現る」

 

マスター、小声で呟く

 

マスター「あいつ・・・でもなんでまた今頃・・・」

どぅーちゃん「本当、男って鈍感なやつばっか・・・」

はる「げ!どぅーちゃん!!お前いつの間に・・・!?」

どぅーちゃん「やー―――ん!はるちゃま、今日もイケメンねぇ!!!」

 

はるにくっつくどぅーちゃん

 

はる「やめろ!!ベタベタするな!!!」

どぅーちゃん「やだはるちゃま、今日もツンデレねぇ!!!」

はる「あー―――!!たちばなさん助けてー――!!!」

たちばなさん「はいはい」

 

どぅーちゃん離すたちばなさん

 

たちばなさん「どぅーちゃん、どうどう・・・」

どぅーちゃん「やだ、たちばなちゃん!いたの?」

たちばなさん「これあげる。」

 

たちばなさん、豆腐ドーナツを渡す

 

どぅーちゃん「あら!いいの?いただきまーす!」

 

豆腐ドーナツをほおばるどぅーちゃん

 

たちばなさん「マスター、豆腐ドーナツもうひとつー」

マスター「あーはいはい」

 

ドーナツを準備しにカウンターに戻るマスター

 

たちばなさん「で、今日はどうしたの?」

どぅーちゃん「あ!そうそう。今さっき、道に迷っていた子をここに案内したのよ。マスターのお知り合いみたいだけど・・・」

 

♪吹雪の音

急に店の中が寒くなる

 

はる「さむっ!!!」

たちばなさん「この感じ・・・はるくん、来るよ・・・!」

 

♪ドアが激しく開く音

吹雪が激しくなる

雪女が現れる

 

はる「来た!!!!来た来た来た!!!」

雪女「なぁに、この馬鹿そうな男」

はる「なんだとぉ!まぁいいや、教えてやる!」

 

はる、センターに立つ

 

はる「控えよ!!!妖怪共!!!!!」

 

♪M

 

はる「我、古来より妖怪退治を勤める者なり!!さぁ、大人しくお縄について貰おうか。」

 

♪カカンッ

 

雪女「そうか、お前も陰陽師なのか・・・でも用があるのはお前ではない」

 

マスターを見つめる雪女

 

雪女「あの男」

マスター「・・・」

 

雪女「久しぶりね。」

マスター「あぁ。」

たちばなさん「やっぱりマスターと因縁があるんだね。」

はる「因縁があるか無いかなんて関係ねぇ!!お前はここで退治する!!」

 

雪女に向かって構えるはる

それを見てはると雪女の間に入るどぅーちゃん

 

どぅーちゃん「ちょーっと待って?」

はる「なんだよ」

どぅーちゃん「あたし、ここに来る途中でこの子の話を聞いたのよ。で、思ったの。」

 

どぅーちゃん、マスターの方を見つめる

 

どぅーちゃん「雪ちゃんもマスターも、いったん腹を割って話すべきだってね」

雪女「・・・」

マスター「・・・」

 

はる、空気を壊すように話し出す

 

はる「なんだよそれ!それじゃあ妖怪退治が出来ないじゃな・・・」

 

はるの話を遮り、はるの顔をむぎゅっと掴むどぅーちゃん

 

どぅーちゃん「はるちゃまのかっこいい姿が見れないのは残念だけど・・・今はそれどころじゃないの!」

たちばなさん「というか『雪ちゃん』って・・・随分親し気な呼び方なんだね。確か初対面のはずじゃ・・・」

どぅーちゃん「やぁねたちばなちゃん!同じ悩みを持っている子はみんな仲間よ!」

はる「悩みってなんだよ、お前に悩み何かないだ・・・」

 

再びむぎゅっと顔をつかまれるはる

 

どぅーちゃん「さっ!二人ともそこに座って!今からお茶を入れてあげるから」

 

黙って椅子に座り向き合うマスターと雪女

お茶の準備をするどぅーちゃん

 

たちばなさん「・・・単刀直入に聞きけど」

 

たちばなさんの方を見るマスターと雪女

 

たちばなさん「二人ってどういう関係なの?友達?」

マスター「友達では・・・」

たちばなさん「じゃあ・・・幼馴染?」

マスター「いや、その・・・」

たちばなさん「恋人とか」

 

明らかに動揺するマスター

 

たちばなさん「恋人だ」

はる「えぇー――!?!?相手は妖怪なのに!?そんなことって!!」

たちばなさん「はる君、妖怪がもともと人間だったって話も珍しくはないんだよ」

はる「へぇー」

マスター「いや!ちがう!」

はる「すんげー必死じゃん。おもしれー!」

マスター「おもしろがるな!!」

 

マスターとはる、ギャーギャー騒ぐ

雪女、苛立ったようにせき込む

雪女の方を見て静まり返る二人

お茶を出すどぅーちゃん

 

どぅーちゃん「あらマスターったら、そんな言い方しなくてもいいわよねぇ?雪ちゃん」

雪女「えぇ・・・まぁ、恋人ではありませんが・・・」

たちばなさん「あ、恋人じゃないんだ。」

はる「じゃあなんか禁断の恋だったとか?」

 

はる、キャーとか言いながらマスターをからかう

 

マスター「やめろ!」

雪女「この男、私に嘘をついたの。」

はる・たちばなさん「嘘・・・?」

 

突然雰囲気が変わる

♪いい感じの曲

 

はる「え、なに?この雰囲気」

 

突然立ち上がる雪女

 

雪女「わぁ!雪!!ねぇマスター、見てよ!」

 

はる「なんか始まった・・・」

たちばなさん「ねぇ」

 

突然立ち上がるマスター

 

マスター「なんだよ、店の中で騒ぐなって」

雪女「だってこんなに雪が降ってるのよ?今日はもう帰れないかなぁー」

マスター「・・・」

雪女「・・・」

 

マスターをチラッと見てさらに大きな声で

 

雪女「今日はもう帰れないなぁー!!」

マスター「声でか!」

 

マスター、何かを察して

 

マスター「泊っていくか?」

雪女「いいの?」

マスター「今外に出たら危ないからな。」

雪女「やったぁ。」

 

雪女「・・・ねぇ、マスター。」

マスター「なんだ?」

雪女「・・・やっぱり、まだダメ?」

マスター「またその話か・・・?」

雪女「だって私たち、もう出会って10年経ったんだよ?私もう大人になったんだよ?」

マスター「・・・」

雪女「マスターの嘘つき・・・「お前が大人になったら付き合ってやる」って言ったのに。」

マスター「今は陰陽師の仕事に集中したいんだよ。」

雪女「・・・」

マスター「分かってくれ。いずれ陰陽師を辞めたら・・・」

雪女「それ、いつになるの?」

マスター「それは・・・」

雪女「じゃあそういうことは、10年前に言ってよ。ずっと待ってたのに・・・」

マスター「・・・」

雪女「私、帰る」

マスター「おい」

 

♪Mフェードアウト

 

雪女「私はかつてこのお店のスタッフだった。高校の時から通っていたこの場所で、マスターに恋をして・・・ずっとマスターと一緒にいたくて高校卒業後からずっと働いていたの。あの雪の日、お店を出た私は家に帰ることはなかった。目を覚めた時には人ではなくなっていたから多分・・・」

 

気まずい空気感

 

はる・たちばなさん「うわぁ~・・・」

はる「引くわ」

たちばなさん「それはないよ、マスター」

マスター「お、おい、何だよその反応。」

はる「だってそれって逃げてるだけじゃん。ねぇ」

たちばなさん「ねぇ」

マスター「でも危険と隣り合わせの状態で、安易に付き合ってやるなんて・・・」

雪女「いいの!」

 

雪女、ぐっとマスターを見つめる

 

雪女「それでも私は、マスターと一緒に入れたらよかったの!!てか、付き合う気がないなら変に優しい言葉、かけてほしくなかった・・・」

どぅーちゃん「自分が勝手に決めつけた優しさは、時に相手を傷つけることがあるのよ。」

 

はる「ん?ちょっと待て・・・マスター、陰陽師やってたの!?」

マスター「あぁ」

はる「なんで教えてくれなかったんだよ!」

マスター「いやなんか、辞めた理由も理由だし・・・」

たちばなさん「辞めた理由は?雪さんがいなくなっちゃったから?」

マスター「雪がいなくなってから、しばらく経って「雪女の退治」の依頼が来て・・・そこで雪が妖怪になったことを知ったんだ。いざ俺があの時、あんなこと言わなければ、こんなことにならなかったのかも・・・そう思ったら続けるにも続けれなくてな。」

雪女「・・・」

 

どぅーちゃん「でも雪ちゃん、根は優しいんでしょ?」

雪女「・・・」

どぅーちゃん「だから妖怪になった今、小さなことでしか恨みを晴らすことが出来ない。まぁ、それでも人に迷惑をかけることはダメなんだけどね?」

雪女「・・・ごめんなさい」

どぅーちゃん「マスターも!あんたが一番ダメよ。付き合うなら付き合う!それが出来ないならちゃんとはっきり言わなきゃ。「待っていて」なんて言葉言われちゃったら・・・雪ちゃんみたいな一途な子はずーっと待っちゃうんだから。」

マスター「・・・」

 

マスターに耳打ちをするどぅーちゃん

 

どぅーちゃん「雪ちゃん、今もずっと待ってるわよ。」

 

マスター、意を決したように雪女を見つめる

 

マスター「雪」

雪女「・・・何?」

マスター「もし・・・もしもまだ、お前が俺を思ってくれているのなら・・・付き合ってくれませんか?」

雪女「・・・何よ今更。」

マスター「今の俺はもう陰陽師じゃない。一度俺は嘘をついてしまったが、二度目の約束は今守る。」

雪女「・・・待ってた。私妖怪になっちゃったけど・・・それでもずっと、待ってたよ・・・」

 

泣き崩れる雪女

同じ目線になりながら話すマスター

 

マスター「ずっと待たせてごめんな。」

 

どぅーちゃん「なんか、湿っぽくなっちゃったわね。そうだ!お店にある鏡餅、あれもう食べ時じゃない?みんなで食べちゃう?」

はる「そういえばまだ食べてなかったな。マスター、食べようぜ!」

 

裏にはけるどぅーちゃん、はる

マスター、雪女

 

たちばなさん「なんだか今回の妖怪退治は随分平和な終わり方をしたね。まぁ、たまにはいっか。」

 

たちばなさん、何か思いにふけるように自分の手を見る

 

はる「たちばなさーん!」

 

たちばなさんを呼びに戻ってくるはる

 

はる「鏡餅ってどう食べるの?教えてー」

たちばなさん「はいはい」

 

たちばなさんもはると共に裏に行く

 

♪M

カーテンコール

 

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年末配信の企画として、久々に開催したお題台本配信

お題をくださった皆様、ありがとうございました!

 

今回書いた台本は、今後行う公演にも何か絡めていきたいなぁ・・・と考えております。

今回のお話を頭の隅に置いて、楽しみに待っていていただけると幸いです。

 

こちらの配信のアーカイブはこちらから

https://ja.twitcasting.tv/ayagoe3/movie/755179584

https://ja.twitcasting.tv/ayagoe3/movie/755181253

https://ja.twitcasting.tv/ayagoe3/movie/755184586