「今日は、どうなさいましたか?」ニコニコ


診察室に入ってきたのは、若い女性でした。
長い髪で背が高くて、ととのった顔立ちなのですが、
くらい顔をしています。





彼女は無言で椅子に座ると、
上目遣いに私をじっと見つめました。あせる












うさこ
「・・・・」目


その目にタダナラヌものを感じて私が思わず黙ってしまうと、彼女は、おもむろにこういいました。


















「・・・・ニキビ。出来たの」

















うさこ
「・・・・・・・・ハ?」目




とっさにわけがわからずそうつぶやくと、
女の子は、自分の顔を人差し指で、あちこち指差しながら言いました。










女の子
「ここと! これ! これと、ここと、ここも!! こんなにいっぱい! ひどい顔でしょう!?」



じっさい、そんなにひどいニキビではなくて、
むしろ、ニキビの治りかけたあとがうっすらと残っている程度。



でも、本人にとっては、「ヒドイ」ニキビなんでしょうな。











うさこ
「ニキビの・・・炎症のピークは、すぎてますね」


と、私が正直に言うと、
彼女は、そんなの関係ねぇ!!(コジマヨシオ?)とばかりに、










女の子
「違うわよ! ひどいじゃんこれ! こんなにひっどいニキビ、生まれてはじめてなのよぉ! 突然できたのよ!」



今朝突然、顔がニキビだらけになったと彼女は言うのですが、
どう見てもそのニキビたちは、できて数日くらい経った感じで、おさまりつつある様子です。














女の子
「とにかく治して! あさってまでに。あさって結婚式なのよ」



うさこ
「・・・・ほぇ」













無茶いうな~~~~叫び





と、言いたくなりました。








よくよく話を聞いてみると、
まあ要するに、何日か前にニキビができて、自分でなおそうといろいろ薬をぬって、指でつぶして、今朝見たらよけいひどくなってたという話でした。
(つーか、途中省略しすぎだろ! とツッコミたくなりました。)


んで、結婚式も本人の式ではなくて、友達の式ということでした。












女の子
「あーーーーー。あたしが、もっと綺麗だったらなー。ニキビ一つくらい出来ても、綺麗なのになー」




うさこ
「じゅうぶん綺麗じゃん・・・」



実際彼女は、美人でした。









女の子
「ぜんぜん! ぜんぜん綺麗じゃないじゃん!
芸能人みたいな顔になりたいなー」



うさこ
「芸能人? えー。けっこういいセンいくと思うけどなぁ。綺麗じゃないですかー」


と私がニコニコしながらいうと、彼女は首を横に振るので、





うさこ
「いったい、誰みたいな顔になりたいんですか?
あ! 長澤まさみとか!? ちがう? じゃあー、沢尻エリカとか!」



















女の子
「・・・・別に。」








そっぽを向いてそういいました。











「別に。」



・・・・アナタはもう立派に、沢尻。




心の中で、ひとり、つぶやいてしまいました。