ムック先生が、不気味なうめき声で、うなっていました。
みけんにシワをよせて。


(*ムック先生:うさこの指導医。おじさん。パパイヤ鈴木。)





うさこ「先生・・・どうしたんですか、苦しそうですけど」



ムック先生「わた、わた・・・ワタシ・・・じつは・・・」







タダゴトではないその表情に、キケンなものを感じました。


うさこ
「・・・先生、まさか・・・・・・、まさか」






超絶ハヤリの、あれですか。
いまだ巷をさわがしている、あれですか。
病院が新聞にのったり厚生労働省からおこられたりしている、あれですか!!!






ムック先生
「ワタシ、とうとう・・・」


苦しそうな顔だったので、

もう間違いない、

と思って、ああ気の毒に!と、






うさこ
「先生! ノロウイルスですか! 下痢ですか嘔吐ですか下痢ですか!!!?」










ムック先生
「・・・は? なんでワタシがそんなものにかからなきゃならないわけ?」


うさこ
「・・・」




アレ。


違いましたか・・・


だって、ノロウイルスが大流行してるから、
てっきりそれかと思ったんです (;´□`)


ムック先生
下痢なんか、

回しゲリでやっつけたらエエのよ~~」






(;´□`)
(;´□`)
(;´□`)


・・・うああ。




うさこ
「・・・ノロに負けないよう、がんばります・・・」


ムック先生
「ワタシが悩んでいるのはねッ、看護学校の学生さんに、講義を頼まれちゃったワケなのよ~」


うさこ
「そ、そうなんですか! なんの講義ですか!?」


ムック先生
「それを考え付かなくて、
困ってるんじゃないっ!!!」







・・・そうですか。
それであんな、下痢してます風の、苦悶様顔貌で。




ムック先生
「講義なんだけどねぇ、

ほら、お正月でしょー、いちおう。

やっぱり、新春っていったら、初笑いだわよねぇ、

かがみもちとかネ、しめなわとかもあるけれど、

門松っていうよりはやっぱり、

福笑いなのよねーーー

講義の内容もそれにふさわしく、
やっぱり、笑える内容じゃないとダメよネッ!!!」


うさこ
「はぁ・・・」ドクロ











・・・・・先生は、まちがいなく、
講義の内容よりも、
ギャグの内容を考えていると確信しました。






たぶん先生にとっては講義のナカミなんてどうでもいいのです。
それよりもとにかくギャグ。


いかにして、看護学生さんたちのウケをとるかに、情熱を燃やしているのです!!!
まちがいなく。






ムック先生
「やっぱりねェいまのトレンド的には、イナバウアーかしら・・・、それとも・・・」






・・・・・先生は、ひとりごとをもごもごとしゃべりはじめ、ひたすら悩みモードに入っていきました。
そんな調子でずっと、うなっているのです。




ムック先生
「アッあれはどうかしらね、あれ! 


芸人でねっ、命って文字を、からだで表現する人いるじゃない、

あれをワタシがやってみるってのはどうかしらねーーーぇ!!? ウケるかしらぁ?!!!!」









・・・・・ウケるまえに、
先生、
その芸、できるんですかっ!!!?










うさこ
「先生・・・講義しにいくんですよね・・・、
芸じゃなくて」


ムック先生
講義なんかほんとはどっちでもいいのよぉ、
おもしろい舞台になればそれでいいのよ~~」






















公 演 かッ!!?






こんなせりふを言い出したので、
もう、私のアタマには、
先生がバレリーナの服(ぴちぴち)を着て、
華麗にターンとアラベスクをやってる舞台が、
出現してしまいました。





・・・・ビートたけしみたいに、
へんな白鳥くっつけて、
コマネチやってたら、どうしよう。



パパイヤ鈴木の顔に、

劇団四季みたいに、ライオンのお面かぶって、

必死でターンしようとして、

おなかがジャマで回りきれずになんとかごまかして、
ついでにオリジナルソングなんぞを絶叫してたら、


もう笑いすぎて熱が出そうです。






ムック先生
「実をいうとねぇ、とちゅうでカマす、キメギャグはもうあるていど決まっているのよね。
だから、最後をネッ、ちゃんと、いっぱつキメたいのよ」






先生。
医者やめて、大道芸人やったほうが、
あってると思います・・・。






ムック先生
最後だけは、なんとしても、ハズさずに、
ビシッとまとめて、
きれいに講義を終えたいのヨゥッ!!恋の矢ニコニコ


ことわざでも、言うじゃない、



飛ぶ鳥、爪をかくさず・・・って」














・・・・・・・・・・・???





そんなせりふを言い残して、
先生はどっか行っちゃったのですが・・・・。













飛ぶ鳥、爪をかくさず・・・???







そんなことわざ、あったっけ。



と、しばらく考えて、やっとわかりました。







・・・・「立つ鳥あとをにごさず」
といいたかったんです。きっと。





「飛ぶ鳥をおとす勢い」と、
「能ある鷹は爪をかくす」とが、
混じってしまっています。




・・・混じってるというより、むしろ主役。





立つ鳥あとをにごさずは、
最後の「さず」と、「鳥」しか、原型ないです。




・・・・先生。
講義、だいじょうぶでしょうか。





・・・・・・伊右衛門はんを心配する、宮沢りえのよーに、

うさこは、心配です。



-------------------


今日も、最後まで読んでくださって、ありがとう。
読んでくださってるみなさまに、感謝です!!


クリックしてくださるとめっちゃ励みになってます!! → banner