一足早めに夏休みをとった友達から、メールが来ました。
なんでも、モルディブで海を満喫しているらしい様子。
携帯で撮った写真が添付されてました。
・・・・うはっ
∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
ウデには真っ赤なバラのタトゥ。
ヘソにはでっかいピアスがついてます。
そして、長い金髪(というかほとんど白いくらい脱色してる)をでっかいおだんごにして、
あたまのうえにデーンと乗っけて、満面の笑顔で笑っている彼女。
それはいいねんけど、
この人の職業は、看護師です。
・・・この金髪(というか白髪)は、怒られないんだろうか・・・。
このまっかっかのバラタトゥも見つかったらめちゃ怒られるんじゃないだろうか・・・。
ヘソピは、ヘソだしルックでもしない限り、ばれなさそうだけど。
と、ひとごとながら、あれこれ心配してしまいました。
うさこ
「たのしそうで・・・エエでごわすな・・・」(@ ̄Д ̄@;)
携帯を見つめながら、うらやましさでいっぱいになりつつも、くやしさまぎれに
「わたしのぶんまで、たのしんでこーーーーいっっ!!!」
と絵文字4つくらい入れながら、返信しました。
くそー。モルディブかーー。
別な友達は、バリ島に行っちゃってるし、みんなうらやましい。
送信画面を見つめながら。
・・・・すっごいどうでもいいことなんですけど、
たぶん世界中で一、二をあらそうくらいどうでもいい情報だと確信しますが、
私のケータイの待画は、某ゲームのキャラクター(の、めっちゃ脇役キャラ)です。
友達にこの待画を見られると、間違いなく毎回、
「ウワッッ!!!」(とってもイヤな顔とともに)
と言われて、ドン引きされるので、
間違っても見せないようにしています。
ドン引きリアクションがなかったとしても、
「この、オタク!!!」
という心の声が音量無制限で私のムネに突き刺さってくるので、この画面は見せないように死守しています。
えっと、世界一どうでもいい情報、おわり。
この、友達のまっくろ焦げの姿を見ていて、思い出すことがありました。
今はもう、お会いすることはないのですが、むかし、外科にタピ岡ドクターという医者がいました。
外科系らしく筋肉むきむきの筋肉マンで、男前キャラです。
そのタピ岡ドクターの趣味は、マリンスポーツ。
夏になると、でっかいVOLVOに乗って、ひまがある限り海へと繰り出しては、波乗りジョニーに大変身します。
で、タピ岡ドクター、そんなふうに毎週海でレッツバカンスしまくるもので、とうぜんのようにどんどん、まっくろこげに焼けていきます。
やけつくような日差しにやけこげたタピ岡ドクターは、あっちゅうまに茶色くこんがり肌へと変貌していくのです。
タピ岡ドクター
「・・・・あついな・・・・やれやれ・・・」
それは、ある日の月曜日のことでした。
院内のエレベーターに乗り込んで、また始まる長い一週間に思いをはせては、週末に海に行くのを楽しみにしているタピ岡ドクター。
私は、そのうしろでぼや~~んと(いつものように)突っ立っていました。
エレベーターには、タピ岡ドクターと私以外に、患者さんと思われるおばあさんが乗っていました。
おばあさんは、この暑いのに長袖を着ています。
アタマは白髪、カチューシャがはめられていました。
目をしょぼしょぼさせ、クチをもぐもぐさせています。
おばあちゃん
「・・・・ちょいと、ニイちゃん・・・」
ニイちゃん、と話かけたのは、どうやらタピ岡ドクターに対してのようでした。
タピ岡ドクターは、白衣から伸びた真っ黒けの二の腕をもう片方の腕でさすりながら、おばあちゃんのほうを振り向きました。
タピ岡ドクター
「・・・僕ですか?」
おばあちゃん
「そぉや、ニイちゃん、わるいんじゃけんども、5階を押してくれんかのぅ」
タピ岡ドクター
「はいはいわかりました、5階ですねー」
タピ岡ドクターがぽちっとボタンを押すと、やがてエレベーターのドアがゆっくりと閉まり、エレベーターが動き出しました。
しーんとしたエレベーター。
だれも、声を発さないまま、沈黙に包まれたハコがゆっくりと上昇していきます。
なんとなく落ち着かない、この、なんともいえない時間。
・・・・ぺり・・・・
エレベーターの表示を見ていました。
・・・・2階・・・・・
・・・・・・・・3階・・・・・・
・・・・ぺり・・・・・・・・・
うさこ
(・・・・? ”ぺり”??)
私と、タピ岡ドクターが、音のした方向を見たのは、ほとんど同時でした。
タピ岡ドクター
(うハッ!!) ←声にならない叫び
うさこ
(ぎゃフッ) ←やっぱり声にならない衝撃
なんと、おばあさんのしわしわの右手が、
タピ岡ドクターの真っ黒に日焼けした二の腕にのびていました。
そして、
タピ岡ドクターのうでの、
めくれかけの日焼けのカワを、
しみじみ、めくっていたのです!!!
おばあちゃん
「ニイちゃん・・・・えろぅ、よぅ、焼けてるなあ・・・」(ばあさんは、じぃっとタピ岡ドクターの腕を見つめながら、一心不乱にめくっている)
タピ岡ドクター
「いえっ!! (・_・;) その、あの! 焼けてますけどね!!」
見ず知らずのおばあちゃんは、タピ岡ドクターの日焼けのカワをべりべりと気持ちよさそうにめくり続けていました。
タピ岡ドクター
「・・あ、あの、ちょっと、それは・・」 ((o(-゛-;)
ばあさん、ヤメンカイといいたそうな、タピ岡ドクターのとまどい顔。
おばあちゃん
「こんだけナ、焼けてたら、カワもよぅめくれるじゃろうて」(←めっちゃ、うれしそう)
いやいやいいや!!!
俺の皮をどうして、アンタが勝手にめくってるんだ!!!
という、全力でクビを横に振りたそうな表情のタピ岡ドクター。
5階に着いて、ばあさんは、
ぺろーーーん
と、最後のカワをさんざんひっぺがし、
ぽいっ
と床に捨てると、何事もなかったかのように澄まして降りていきました。
タピ岡ドクター
「ばあさん・・・・それはないだろう!!
いったい彼女になんの権利があって、俺のカワをかってにむしりとるんだ!!!
あれは明らかに職権乱用だろう!!」
なんの「職権」かまったくわかりませんが、タピ岡ドクターはガクゼンとしてそう叫びました。
うさこ
「せんせい・・・いい具合に、カワがめくれてるから、おばあさんの気持ちも、わからないことはないんですけどね・・・」
タピ岡ドクター
「いやしかし!! 初対面のばあさんだぜ!! 俺あんなばあさん、まったく知らんのに!!」
・・・・・・という、
おばあさんの、燃えるような夏の恋の一こまなのでした。
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今日も、最後まで読んでくださって、ありがとう。
読んでくださってるみなさまに、感謝です!!
すんごくひさしぶりの、タピ岡ドクターねたでした。