「俺よぉ、お見合いしようかと思っててよぅ」
彼は、外来のイスに腰掛けるなり、開口一番そう言いました。
E先生
「はぁ、そうかいな・・・」
いったいナニを言いだすのだ!?
という顔で、患者さんを見るE先生。
そりゃそうです。
病院来て、お見合いはできないでございます。
「俺さぁ、お見合いしようと思って、髪も切って、服もちょっと新しいのを買って、はりきってたのにさ」
そう言いながら患者さんは、上着のポケットからケータイを取り出して、テーブルの上にどん!と置きました。
「それなのにさぁ、見てくれよーこれをよぉ」
と、彼はさらに上着を脱ぎます。
脱いだ上着を、勢いよく、ぽーーーん!とカゴのなかへシュート。
「この、クビのトコにへんな湿疹できちゃってよぉ!! こんなのカッコわるすぎてお見合いでけんだろーーー、のぉ? そう思うよなぁ~~。そいでさぁ、今日こうやって病院きたわけよ。あさってまでに治してくれへんか、これ」
E先生
「あー。湿疹ねぇ。そうやなぁ。
しかしあさってまでっていうのはちょっとムチャな話やね、君。
ちなみにどんなヨメさん欲しいの?」
「そらもう、決まってますやん!! ビジンで、おしとやかで、かしこくて、エロかったら最高!」
・・・・・Σ(~∀~||;)
井戸端会議みたい。
E先生の後ろに立っていた私は、ぽかーんとしてました。
するとE先生は、いたってまじめな顔で、患者さんにこういいました。
「あのさー、君、おしとやかっちゅうけどやね、君の言葉遣いは相当なもんやで。
君の言葉遣いをまず直したほうがエエのと違うか」
「ええ?! 俺の言葉遣いけー? そんなオカシイちゅうことぁないやろ!」
E先生
「いや君、品がないよ。そんな言葉遣いじゃおしとやかなヨメさんは無理やで」
「ほんまけ!!? もっとエリートぽくしたほうがええか!!?」(←身を乗り出している)
・・・・結婚相談所みたいっす。(;´□`)
E先生はさらに調子に乗って、
「それにさ、君のこのケータイ!」
と、机に置かれた彼のケータイを手に取りました。
「先生なに勝手に触ってんの!! やめてんか~。セクハラやんっ」ヾ(。`Д´。)ノ
彼はあわてて、ひったくるようにそのケータイを奪い返しました。
・・・・せくはら??
ケータイを取り返した彼は、それを印籠のようにE先生の眼前につきつけ、
「このケータイがどないしたんな!?」
とE先生をにらみ返しました。
E先生
「めちゃめちゃ、使い方、荒いやん。キズだらけになってるし、あちこちぼこぼこやし、ストラップは切れかけやし、塗装ははげてるし・・・
君の性格が丸出しや!!」
「TRICK」の仲間由起恵みたいなビシッと決めっぷり。あひゃー。
「あーーーー・・・・まぁ、そう言われてみたら、たしかになぁ、きたないかもしれんなぁ~~」
ちょっと声が小さくなる彼。
E先生
「ワシのケータイ見せてあげよう、ほら、もう3年も使ってるけどこんなにキレイ。
ものっちゅうもんは、こんなふうに使わんとイカン」
自慢げに威張るE先生。
「あーー・・・、たしかにキレイわなぁ、センセのゆうとるとおりでっしゃな」
E先生
「それに、君の上着!!
カゴに思い切り脱ぎ散らかして!!
さっき、放り投げてたやろ。
ああいう行動がイカンのや。
女の人はそういうところを見るもんやで。
もっとびしっと身奇麗にしとかんといかん。
ああいうところで、だらしなくてエエ加減な人間や、って判断されるのや、
おまけに物の扱いも荒い、
カネ使いも荒いんやろなぁ、と推測されてしまうわけや。わかるか」
「はーー・・・なるほどなぁ」
E先生
「ええ人生勉強になったやろ?」
・・・・ええ。なりました、なりましたとも(涙)
「これで明日から俺もモテるわナ!!」
と、彼は喜びながら帰っていきました。
湿疹のお薬とともに・・・。
-------------------
今日も、最後まで読んでくださって、ありがとう。
更新ノロノロでごめんなさい~~