不妊治療は、けっこう、しんどい。
体力的にも、精神的にも、金銭的にも。
妊娠するための検査や治療は、
いろいろあるのですが、
最終手段とも言えるのが、「体外受精」です。
というわけで、わたくし、本日は、
産科のベテランドクターのうしろにくっついて、
体外受精をしておりました。
どうしても、自然妊娠が期待できない場合、
女性から卵を採取して、
男性から精子をいただいて、
シャーレの中で受精させます。
そして、受精卵をある程度育てて、
また子宮内に戻します。
まず、卵を採取するのがひと苦労。
精子だと、
「持ってきてくださいねっ。えへっ」
という一言で、あとは本人にお任せで、
持ってきてもらうのですが、
卵はそういうわけにいかないので、
医師が卵巣から採取します。
まず、膣内や子宮口などを、
イソジンでよーく消毒。
それから、清潔なエコープローベをあてて、
卵巣の様子を観察します。
排卵日近くになっているその卵巣は、
しきりで分けられているような状態で、
卵が採取できそうな区画を探します。
採取できそうな区画が見つかったら、
膣から特殊な長い針を入れます。
エコーで見ながら、
卵巣に針を刺します。
針には、長いチューブが接続されていて、
チューブの先は体外にあるので、
その先に注射器をつないで、
バッファと呼ばれる液を注入します。
こうすることで、卵巣内にバッファが注入されるわけです。
バッファを入れると、
卵巣内でぷかぷかと卵がバッファに浮いている状態。
その状態のまま、
バッファごと、吸引します。
そうすると、卵が採取できるというわけです。
これを、一区画につき何度か、繰り返します。
繰り返した後、
他の、卵を採取できそうな区画をまた探して、
同様に、バッファを注入して卵を浮かせて、
卵を採取してきます。
痛そうなんだよね。これ・・・。
痛い証拠に、
バッチリ、痛み止めの注射は使用してます。
それでもやっぱり痛そう。
こんなふうにして、バッファとともに卵を採取し、
あとで、顕微鏡で、
ほんとうに卵がとれたかどうか確認します。
そのあと、だんなさんの精子と受精させるわけです。
精子を顕微鏡で見ると、
ぴよぴよ ぴよぴよ~~~
という感じで、
元気に泳いでおりました。
こんなちっちゃい彼らから、
人間ができるってスゴイ。
受精させたあとは、
受精卵をふたたび顕微鏡で観察。
培養液につけておいて、
「頑張って育つのだぞ!!」
と、応援しつつ、
ある程度まで成長するのを待ちます。
受精卵は、時間が経つとともに、
分裂が進んでいきます。
最初、ひとつのかたまりだった受精卵。
それが、しばらくすると、
真ん中からぱっくり割れ目が入り、
二分裂します。
そして、そのあとまた二分裂するので、
四分割の卵になります。
それがまた二分裂して、八分割、
また二分裂して、十六分割・・・
といった具合で、分裂を重ねていきます。
ある程度分裂が進んだところで、
子宮内に戻します。
子宮内に戻したからといって、
ちゃんと着床する(赤ちゃんとして育っていく)保証はどこにもありません。
むしろ、母体の年齢が高くなるほど、
着床率は低くなっていきます。
だから、できるだけたくさんの受精卵を子宮内に戻します。
といっても、法律で決まっているので、
最大3個までです。
3個の受精卵を子宮内に戻して、
そのうち、1個育つか育たないか。
たまーに、3個育って、三つ子ちゃんが出来る場合もあります。
2個育つと双子ちゃん。
1個だと、赤ちゃんはひとりです。
指導医の先生が、
体外受精をするのを手伝いながら、
生命の神秘をひしひしと噛みしめていました。
人ひとり、生まれてくるのって、
ほんとうに、すごいことなんだよね。
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最後まで読んでくださって、ありがとう。
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