地球から宇宙へ脱出する宇宙船には多くの人がギュウギュウになって乗っていた。
まわりには友人や知人が確認できた、無事でよかった。
たどり着いた惑星は、昔テレビで見た番組名は忘れたが宇宙ロビンソン漂流記家族版?で確か地球から家族で無人島ならぬ無人惑星に不時着した場所に似た、土だけの景色。
泥の温泉が沸く集落には、アニメのよくある原始人の格好をした人々が暮らしている。
気づけば、宇宙船に乗っていた人々は自分も、もう同じ格好でその土地に馴染んでいる。
泥温泉は下から湧き出ているらしく、表面をゆるやかに山をつくったりして流動している。
入るとなかなか良いお湯。なめらかに肌にまとりつく、難病にも効くらしい。
温泉の奥の泥壁には、角度によれば人の顔にも見えそうな突起。
壁のすぐ裏側には寺院があって、巨大な泥の立像が。
『鼻が通って道は開ける』と言うお告げはこれだろうか?と考えて見上げると、女性の立像、顔がでかく、顔の2分の1ぐらいはある団子鼻。
温泉の方へ戻ると、温泉場は有料化で貧しい民は入れない。むろん自分も入れない。難病の友人も入れない。
こんな酷い仕打ちはないだろうと思っていると、座長が出てきて、有料化をした悪徳権力者と戦いはじめる。
「湧き出ている大地の惠を有料化し、弱った民が入れないなんてふざけるなぁー!」
『何を言うか、有料化して何が悪い。入りたければ金を払え、払いさえすれば入れるんだっ』
と一触即発の場面で、温泉奥の泥壁の突起部分が融け流れ出した。
これがお告げか?流れ始めた突起の部分は鼻の形にも見えた!と納得しようとすると、壁が流れきり、壁の後ろの立像が見えてきた。
すると女性の団子鼻がすっかり流れ落ち、鼻の穴から泥温泉が流れている。
こっちか!!!!
立像は鼻から絶え間なく泥温泉を流して、すっかり鼻筋の通った小鼻の美人になっていた。
これでみんなが平等に温泉に入れるし、病気もなおる。
あとは食料だ!
食料は今のうちに泥温泉の魚を釣ろう。
ここの魚は指さえ突っ込めば食いついてくる。
いででででっ!
人差し指に食い付いてきた魚は、えらがハサミのように鋭くマシーン化したピラニアのようでグロテスクな魚。
早く絞めなければ逃げてしまうわ、痛いわで格闘していると、タモリと鶴瓶が絞め方を教えてくれた。
もうたくさん釣れたし、このぐらいあればみんなしばらくしのげる。
と、右手人差し指にもう一度痛みが