雨降り | 今日も感謝感激雨霰この際槍でも鉄砲でも降ってきやがれって降ったら困るがなるようにするしかないでしょね
雨の日に想う音楽がある。
私にはいつの頃からか、雨が降ると頭の中で勝手に鳴りだす曲があって、その曲の題名も知らず、いつ聴いたのか、何から覚えたのか、気にもせず、ただ雨が降れば、この音楽が流れていることだけが事実だった。
その、いつ、どこで聴いたのか、気になり始めたのは、高校生で、あぁ正確には中学3年生の冬だったか‥、その曲を最初に聴いたきっかけを意識しはじめた。
それでも、不確かな霧のかかった状態というのか、洋画がきっかけだとは思い出しても、どんな映画だったか断片も数十秒のシーンぐらいしか思い出せず、そのシーンは青空の広がる緩やかに凸凹した野原を二人乗りした自転車で愉しげに行き過ぎてく、はたしてこのシーンで流れていたかも不明だが、この映画で流れていたことと曲は雨のタイトルがついていたようだということと鼻歌だけ頼りで、誰かに鼻歌を聴かせるのも自信のなさから恥ずかしく、わからないままで、ただ雨が降れば曲が頭を繰り返していた。

この映画を見たのは、たぶん小学校4年の時。
当時我が家は、土曜日のドリフを除いては普段夜八時には子供は寝る時間だったが、4年生の時虫垂炎で手術をし退院した私を心配した両親が目の届くところへと、ベッドを唯一テレビのある茶の間に置いたのだった。私は両親の心配がムダなほど元気で、八時にはベッドへ入るものの、テレビがついている間は横になりながら起きていたと思う。どんな番組を見ていたかはまったく憶えていないに等しいが、父が見ていたのは野球か映画かボクシングだったろう。
この映画もきっとその頃にテレビで放映されたのを、茶の間に置かれたベッドから横になり見ていたのだと思う。

映画のタイトルは後々にわかり、アンチヒーローもので最後主人公二人は家から飛び出すところで、画面はテレビの故障かというようにカットアウトし銃声だけが鳴り響くが、ふと、のどかなこの曲が流れはじめる。

なぜ雨が降れば私の中でこの音楽が流れるようになったか、理由はハッキリわからないが、今も流れていることは変わらない。きっとずっと変わらないんだろうなぁ。